死亡後のお金の手続きまとめ — 受け取れるお金・払うお金を整理
目次
この記事のまとめ
- —遺族年金・保険金・葬祭費など受け取れるお金
- —相続税・葬儀費用・未払い金など払うお金
- —銀行口座・不動産・自動車の名義変更が必要
はじめに
「受け取れるお金があるのに、知らなくて申請していなかった」——実際に多いケースです。
家族が亡くなった後、お金に関する手続きは大きく3つに分かれます。受け取れるお金、払うお金、そして名義変更が必要なもの。見落としがないように、順に整理していきます。
受け取れるお金
申請しなければ支給されない制度がほとんどです。該当するものがないか、一つずつ確認してください。
遺族年金・生命保険金・埋葬料・葬祭費・高額療養費はいずれも申請しなければ支給されません。「知らなかったので請求しなかった」というケースが非常に多いため、必ず一覧を確認してください。
| 名称 | 金額の目安 | 申請期限 | 届出先 |
|---|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 年額 約83万円 + 子の加算 | 死亡日の翌日から 5年以内 | 年金事務所 |
| 遺族厚生年金 | 報酬比例額の3/4 | 死亡日の翌日から 5年以内 | 年金事務所 |
| 未支給年金 | 故人が受け取れなかった年金 | 死亡日の翌日から 5年以内 | 年金事務所 |
| 生命保険金 | 契約内容による | 死亡日の翌日から 3年以内 | 保険会社 |
| 埋葬料 | 5万円 | 死亡日の翌日から 2年以内 | 協会けんぽ・健保組合 |
| 葬祭費 | 3万〜7万円 | 葬儀日の翌日から 2年以内 | 市区町村役場 |
| 高額療養費の還付 | 自己負担限度額を超えた分 | 診療月の翌月から 2年以内 | 健康保険の保険者 |
遺族年金
故人が年金に加入していた場合、遺族は遺族年金を受け取れる可能性があります。
- 遺族基礎年金 — 18歳未満の子がいる配偶者、または18歳未満の子が対象。年額約83万円に子の加算がつく
- 遺族厚生年金 — 故人が厚生年金に加入していた場合。配偶者、子、父母、孫、祖父母が対象(優先順位あり)
年金事務所での手続きが必要です。詳しくは「遺族年金の請求ガイド」で解説しています。
生命保険金
故人が生命保険に加入していた場合、受取人に保険金が支払われます。
- 保険証券を探す(保険会社からの郵便物も手がかりになる)
- 保険会社に連絡し、死亡保険金の請求手続きを行う
- 必要書類: 死亡診断書、受取人の本人確認書類、保険証券など
生命保険金は受取人固有の財産であり、原則として遺産分割の対象にならない。ただし、相続税の課税対象にはなります(非課税枠: 500万円 × 法定相続人の数)。
詳しくは「生命保険金の請求手続き」をご覧ください。
埋葬料・葬祭費
葬儀を行った方が受け取れる公的な給付金です。
- 埋葬料(5万円) — 故人が社会保険に加入していた場合。協会けんぽまたは健保組合に申請
- 葬祭費(3万〜7万円) — 故人が国民健康保険に加入していた場合。市区町村役場に申請
どちらも申請しないと支給されません。詳しくは「葬儀費用の相場と使える補助金」で紹介しています。
高額療養費の還付
故人の最後の医療費が高額だった場合、自己負担限度額を超えた分が還付されます。故人宛に「高額療養費支給申請書」が届くことがあるので、見落とさないようにしてください。診療月の翌月1日から2年で時効になるため、早めの申請が重要です。詳しくは「高額療養費の死亡後申請」をご覧ください。
未支給年金
故人が受け取れるはずだった年金が未払いになっていることがあります。故人と生計を同じくしていた遺族が請求できます。年金は後払いのため、亡くなった月の分まで受給権がある。詳しくは「未支給年金の請求方法」で解説しています。
払うお金
相続税
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納付が必要です。
- 基礎控除額: 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 申告期限: 相続の開始を知った日の翌日から 10か月以内
- 届出先: 故人の住所地を管轄する税務署
基礎控除の範囲内であれば申告は不要です。詳しくは「相続税の申告ガイド」で解説しています。
相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 x 法定相続人の数)以下であれば、相続税の申告は不要です。まず基礎控除額を計算して、申告が必要かどうかを判断しましょう。
葬儀費用
葬儀の形式によって 15万〜250万円 と幅がある。見積もりの比較が重要です。詳しくは「葬儀費用の相場と使える補助金」をご覧ください。
故人の未払い金
以下のような支払いが残っている場合、相続人が引き継ぐことになります。
- 医療費(入院費の未精算分)
- 税金(住民税、固定資産税など)
- 家賃、光熱費の未払い分
- クレジットカードの未決済分
住民税は1月1日時点で生存していた場合に課税されるため、年の途中で亡くなった方にも納税通知が届くことがあります。
名義変更が必要なもの
銀行口座
金融機関が死亡を知ると口座は凍結されます。遺産分割協議の結果に基づいて、相続人への払い戻し手続きを行います。急ぎの場合は仮払い制度(1金融機関あたり上限150万円)が使えます。
手続きの際には戸籍謄本に加えて、住民票の除票が求められることもあります。詳しくは「故人の銀行口座が凍結されたら」をご覧ください。
不動産
故人名義の不動産は、法務局で相続登記を行います。2024年4月から義務化されており、相続を知った日から 3年以内 に手続きが必要です。
自動車
故人名義の自動車は、運輸支局で名義変更(移転登録)を行います。必要書類は戸籍謄本、遺産分割協議書、車検証など。売却や廃車にする場合も、先に相続人への名義変更が必要です。
その他
- 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更
- 固定電話・携帯電話の契約変更または解約
- 賃貸住宅の契約者変更
まとめ
死亡後のお金の手続きで最も見落とされやすいのが「受け取れるお金」です。遺族年金、生命保険、埋葬料・葬祭費、高額療養費——いずれも申請しなければ受け取れません。
まずは上の一覧表で該当するものにチェックを入れて、期限内に手続きを進めてください。死亡後に必要な手続きの全体像は「家族が亡くなったらやること一覧」にまとめています。
- 遺族年金の受給対象か年金事務所で確認する
- 未支給年金を請求する
- 生命保険金を保険会社に請求する
- 埋葬料または葬祭費を申請する
- 高額療養費の還付申請を確認する
- 相続税の申告が必要か基礎控除額を計算して判断する
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