年金・保険

未支給年金とは|いくらもらえる?振込時期・請求方法・対象者・必要書類

更新日: 2026/2/27読了: 26分

この記事のまとめ

  • 未支給年金は生計同一の遺族が請求できる
  • 請求期限は5年以内で届出先は年金事務所
  • 受給停止届と同時に手続きするのが効率的

未支給年金とは

年金は「後払い」で支給されています。偶数月の15日に前2か月分がまとめて振り込まれる仕組みです。たとえば4月15日に振り込まれるのは、2月分と3月分の年金です。

このため、年金を受給していた方が亡くなると、最後の支給分が受け取れないまま残ります。これが「未支給年金」です。

具体的には、亡くなった月の分まで受給権があります。たとえば3月に亡くなった場合、2月分と3月分の年金が未支給になります(4月15日に振り込まれるはずだったもの)。1月に亡くなった場合は、12月分と1月分が未支給です。

年金は受給者本人にしか支給できないため、本人が亡くなった時点で振り込みは止まります。しかし、亡くなる直前まで生きていた月の分まで年金を受け取る権利はあります。この「受け取る権利があるのに、まだ支払われていない年金」が未支給年金です。

未支給年金は放っておいても自動的に振り込まれるものではありません。遺族が請求手続きをして初めて受け取ることができます。「知らなかったので請求しなかった」というケースも少なくないため、ここでしっかり確認しておきましょう。

どんな年金が未支給の対象になるか

未支給年金の対象になるのは、老齢年金に限りません。以下の年金がすべて対象です。

つまり、公的年金を受給していた方が亡くなった場合、年金の種類を問わず未支給年金が発生する可能性があります。

請求できる人(対象者)

未支給年金を請求できるのは、故人と生計を同じくしていた遺族です。

優先順位

請求できる遺族には以下の優先順位があります。順位の高い方がいる場合、低い順位の方は請求できません。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他の3親等内の親族

7番目の「3親等内の親族」は、2014年(平成26年)4月の法改正で追加されました。甥・姪や、子の配偶者(長男の妻など)も含まれます。

「生計を同じくしていた」とは

同居していれば原則として認められます。ただし、別居でも以下のような事情があれば「生計同一」と認められることがあります。

別居の場合は「生計同一関係に関する申立書」を提出し、第三者の証明(民生委員、近隣住民、施設の職員など)が必要になります。ただし、健康保険の扶養証明や仕送りの記録(振込明細等)があれば、第三者証明を省略できる場合もあります。

なお、故人が老人ホームや介護施設に入所していた場合、住所が施設になっていても、もともと同居していた家族であれば「生計同一」と認められるのが一般的です。施設入所が理由で住民票を移していたケースでは、入所前の住民票や施設の入所契約書が証拠になります。

事実婚(内縁関係)の場合

法律上の婚姻関係がなくても、事実婚(内縁関係)のパートナーは「配偶者」として未支給年金を請求できます。この場合、同居の事実や生活費の共有を証明する書類(住民票の続柄欄や、連名の郵便物など)が必要になります。

請求手続きの流れ

手続きは次の4ステップで進みます。

ステップ1: 必要書類をそろえる

後述の「必要書類」を確認し、事前に準備しておきます。戸籍謄本や住民票は市区町村役場で取得できます。死亡届を提出した直後であれば、同じ日に住民票(除票)も取得しておくと二度手間を避けられます。

ステップ2: 届出先へ提出する

年金事務所の窓口に書類を持参するか、郵送で提出します。窓口に持参する場合は、書類の不備があってもその場で指摘してもらえるので安心です。郵送の場合は、届出書を日本年金機構のウェブサイトからダウンロードして記入し、管轄の年金事務所に送付します。

ステップ3: 審査

日本年金機構で審査が行われます。提出から3〜4か月で「未支給年金・未支払給付金決定通知書」または「不該当通知書」が届きます。書類に不備があると、追加の書類提出を求められることがあります。

ステップ4: 振り込み

決定通知書が届いてから、おおむね2か月程度で指定の口座に振り込まれます。振込時期の詳細や遅れる場合の対処法は「未支給年金はいつ振り込まれる?」で詳しく解説しています。

請求から受け取りまで、トータルで5〜6か月かかるのが一般的です。すぐにお金が必要な場合は、他の制度(銀行口座の仮払い制度など)の利用も検討してください。

ポイント

年金受給停止届と未支給年金請求書は一体化した書式になっています。年金事務所を1回訪問するだけで両方の手続きが完了します。

届出先

年金の種類届出先
厚生年金年金事務所
国民年金のみ年金事務所 または 市区町村役場の年金窓口

年金事務所は予約制を導入しているところが多いため、事前に電話しておくとスムーズです。

なお、年金受給停止届も同じ窓口で手続きできます。受給停止届の詳しい手続きは「年金受給停止の手続き」で解説しています。

必要書類

書類備考
年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金請求書年金事務所の窓口または日本年金機構のウェブサイトからダウンロード
故人の年金証書紛失した場合は基礎年金番号が分かればOK
戸籍謄本故人と請求者の関係が分かるもの
故人の住民票(除票)死亡日が確認できるもの
請求者の世帯全員の住民票マイナンバーを記載すれば省略できる場合あり
生計同一関係に関する申立書故人と請求者が別世帯の場合に必要
請求者名義の金融機関の通帳またはキャッシュカードのコピー振込先の確認用

2025年11月に様式が改定され、「年金受給権者死亡届」と「未支給年金請求書」が一体化した書式になりました。1枚の書類で受給停止届と未支給年金の請求を同時に行えます。

年金証書が見つからない場合でも、基礎年金番号が分かれば手続きは可能です。年金手帳、ねんきん定期便、年金額改定通知書などに番号が記載されています。詳しくは「年金証書を紛失したら?」をご覧ください。

マイナンバーによる書類省略

請求書にマイナンバーを記載した場合、以下の書類の添付を省略できることがあります。

ただし、戸籍謄本や生計同一関係の申立書は省略できません。省略できるかどうかは、事前に年金事務所に確認しておくのが確実です。

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請求期限(5年の時効)

未支給年金の請求期限は、年金の支払日の翌月の初日から5年です。

たとえば2026年3月に亡くなった場合、本来の支給日は2026年4月15日。時効の起算日は2026年5月1日なので、2031年4月30日までに請求する必要があります。

5年を過ぎると請求権は時効により消滅し、受け取ることができなくなります。「いつか手続きしよう」と後回しにしていると、気づいたら期限が過ぎていた——というケースもあります。

注意

未支給年金の請求期限は年金の支払日の翌月初日から5年です。また、振り込みまで5〜6か月かかるため、早めの請求を心がけてください。

期限には余裕がありますが、年金受給停止届には短い期限(厚生年金10日以内・国民年金14日以内)があるため、受給停止届を出す際に未支給年金もまとめて請求するのが効率的です。年金事務所を訪問する機会に、すべて済ませてしまいましょう。

受け取れる金額の目安

未支給年金の額は、故人が受給していた年金の種類と金額によって異なります。最大で2か月分が未支給になるのが一般的です。

参考までに、2025年度の年金額をもとにした目安を示します。

故人の年金月額の目安未支給年金(最大2か月分)
老齢基礎年金のみ(満額)約6.9万円13.8万円
老齢厚生年金+老齢基礎年金(平均的な会社員)約14〜17万円28〜34万円

実際の金額は故人の年金記録によって異なります。正確な金額は年金事務所で確認してください。

1か月分になるケース

亡くなったタイミングによっては、未支給年金が1か月分になることもあります。たとえば、偶数月(2月、4月など)の15日より後に亡くなった場合、その月分の1か月分だけが未支給になることがあります。逆に、偶数月の支給日前に亡くなると、前2か月分がまるまる未支給になります。

いずれにせよ、亡くなった月の分まで受給権がありますので、金額の大小にかかわらず請求するべきです。

注意点

未支給年金は相続財産ではない

最高裁判決(平成7年11月7日)により、未支給年金の請求権は受取人固有の権利とされています。つまり、相続財産には含まれません。遺産分割協議の対象にもなりません。

税金の扱い(一時所得)

未支給年金は、受け取った人の一時所得として所得税・住民税の対象になります。相続税はかかりません。

一時所得には50万円の特別控除があるため、未支給年金だけで50万円を超えなければ、実質的に課税されないケースがほとんどです。ただし、他に一時所得(生命保険の満期金など)がある場合は合算されるため注意してください。50万円を超える場合は確定申告が必要です。

複数の年金を受給していた場合

故人が老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給していた場合、それぞれについて未支給が発生します。請求書は1枚で両方をカバーできますので、漏れなく記載してください。

企業年金は別の手続き

企業年金(確定給付年金、確定拠出年金など)は日本年金機構の管轄外です。各企業年金基金や運営管理機関に別途問い合わせが必要です。故人が会社員・公務員だった場合は、勤務先の人事部門に確認してみてください。

死亡後に故人の口座に年金が振り込まれた場合

届出が遅れて、故人の口座に死亡後の年金が振り込まれてしまうことがあります。この場合、死亡後の分は「過払い」として日本年金機構に返還する必要があります。一方、死亡月までの分は正当な未支給年金として遺族が受け取れます。過払い分の返還と未支給年金の請求は別の手続きになるため、年金事務所で整理してもらうのが確実です。

年金受給停止届との関係

年金受給者が亡くなったときの手続きは、大きく3つに分かれます。

手続き内容期限
年金受給停止届故人の年金を止める厚生年金10日以内・国民年金14日以内
未支給年金請求未払い分を遺族が受け取る5年以内
遺族年金請求遺族が新たに年金を受給する5年以内

この3つは年金事務所の窓口でまとめて手続きできます。1回の訪問ですべて済ませるのが最も効率的です。窓口で「年金受給者が亡くなった」と伝えれば、必要な手続きをまとめて案内してもらえます。

とくに遺族年金は、受給条件が複雑で自分では判断しにくいことがあります。「自分は対象外だろう」と思い込まずに、窓口で確認してもらうことをおすすめします。該当すれば、今後長期にわたって年金を受け取れる可能性があります。故人が国民年金の第1号被保険者だった場合は「寡婦年金・死亡一時金」も受給対象となることがあります。

年金受給停止届の詳しい手続きは「年金受給停止の手続き — 届出先・期限・必要書類をやさしく解説」、遺族年金については「遺族年金の手続き — 受給条件・申請方法・受給額をやさしく解説」をご覧ください。

死亡後のお金に関する手続きの全体像は「死亡後のお金の手続きまとめ」で整理しています。

よくある質問

故人と別居していましたが、未支給年金を請求できますか?

別居でも「生計を同じくしていた」と認められれば請求できます。たとえば、定期的に仕送りをしていた、生活費を負担していた、施設入所の費用を払っていたなどの事情があれば該当します。その場合「生計同一関係に関する申立書」と第三者の証明(民生委員、施設職員など)が必要です。振込明細や扶養の記録があれば、第三者証明が不要になることもあります。まずは年金事務所に相談してみてください。

未支給年金を受け取ったら確定申告は必要ですか?

未支給年金は受取人の「一時所得」として扱われます。一時所得には50万円の特別控除があるため、他に一時所得がなく、未支給年金の額が50万円以下であれば申告不要です。ただし50万円を超える場合や、他に一時所得がある場合は確定申告が必要になります。なお、相続税の対象にはなりません。

年金証書が見つからない場合はどうすればいいですか?

年金証書がなくても手続きは可能です。基礎年金番号が分かれば問題ありません。年金手帳、ねんきん定期便、年金額改定通知書などに番号が記載されています。それも見つからない場合は、年金事務所の窓口で本人確認書類(請求者のもの)と故人の情報(氏名・生年月日・住所)を伝えれば、番号を調べてもらえます。

まとめ

未支給年金は、申請しなければ受け取れないお金です。金額は数万〜数十万円と決して小さくありません。年金受給停止届を出す際に、必ず未支給年金の請求も一緒に行ってください。

死亡後に必要な手続きの全体像は「家族が亡くなったらやること一覧」で期限順に整理しています。年金だけでなく、健康保険や銀行口座の手続きも含めて確認しておくと安心です。

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