相続手続き

遺言書の探し方と検認 — 3種類別の確認方法

更新日: 2026/2/27読了: 29分

この記事のまとめ

  • 公正証書遺言は公証役場の検索システムで無料確認
  • 自宅保管の自筆証書遺言は開封せず検認が必要
  • 法務局保管の自筆証書遺言は検認不要で手続きが簡単

はじめに

相続手続きを進めるうえで、最初に確認すべきことの一つが「遺言書があるかどうか」です。

遺言書の有無によって手続きの進め方はまったく変わります。遺言書がある場合は原則としてその内容に従い、ない場合は相続人全員による遺産分割協議が必要になる。だからこそ、早い段階で遺言書の有無を確認しておくことが重要です。

この記事では、遺言書の3つの種類ごとの探し方と、見つけた後に必要になる家庭裁判所での検認手続きについて詳しく解説します。

遺言書の3つの種類

日本の民法で認められている普通方式の遺言書は、以下の3種類です。それぞれ作成方法や保管場所が異なるため、探し方も変わってきます。

種類作成方法保管場所検認の要否
自筆証書遺言遺言者が全文を自筆で書く(財産目録はPC可)自宅または法務局必要(法務局保管は不要)
公正証書遺言公証人が作成、証人2名が立ち会う公証役場不要
秘密証書遺言遺言者が作成し、公証役場で存在を認証遺言者が自ら保管必要

実務上、最も多く利用されているのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。秘密証書遺言は利用件数が非常に少ないですが、可能性としてゼロではないため、念のため押さえておきましょう。

自筆証書遺言の探し方

自筆証書遺言は遺言者が自分で保管しているケースと、法務局の保管制度を利用しているケースがあります。それぞれの探し方を見ていきましょう。

自宅での探し方

自筆証書遺言は、以下のような場所に保管されていることが多いです。

特に仏壇の引き出しや金庫は重点的に確認してください。エンディングノートに遺言書の保管場所が記されているケースもあるため、ノート類があればあわせて確認するとよいでしょう。

貸金庫に保管されている場合は、金融機関での手続きが必要になります。故人が銀行口座を持っていた金融機関に貸金庫の有無を問い合わせましょう。なお、貸金庫の開扉には相続人全員の同意が必要になるのが原則ですが、遺言書の有無の確認を目的とする場合は、公証人の立ち会いのもとで開扉できるケースもあります。

遺言書を見つけた場合、封がしてあるものは絶対に開封してはいけません。開封は家庭裁判所での検認手続きの中で行います。この点は後述の「検認手続き」で詳しく説明します。

注意

自筆証書遺言(自宅保管)を見つけても、絶対に開封しないでください。家庭裁判所以外で開封すると5万円以下の過料に処せられます。

法務局の自筆証書遺言書保管制度

2020年(令和2年)7月10日から、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度が始まりました。故人がこの制度を利用していた場合、法務局(遺言書保管所)で遺言書の有無を確認できます。

保管制度の主な特徴:

相続人が確認する方法:

相続人や受遺者は、全国どこの法務局(遺言書保管所)でも「遺言書保管事実証明書」の交付を請求できます。これにより、故人の遺言書が保管されているかどうかを確認できます。

手続き手数料備考
遺言書保管事実証明書の交付請求800円保管の有無を確認
遺言書情報証明書の交付請求1,400円遺言書の内容を確認

遺言書情報証明書の交付を受けると、遺言書保管官からその他の相続人全員に対して、遺言書が保管されている旨の通知が届きます。

交付請求の必要書類:

公正証書遺言の探し方

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。原本が公証役場に保管されているため、確実に見つけることができます。

遺言検索システムの利用

日本公証人連合会は、平成元年(1989年)以降に作成された公正証書遺言の情報を一元管理しています。この「遺言検索システム」を利用すれば、全国どこの公証役場からでも、故人の公正証書遺言が存在するかどうかを照会できます。

遺言検索システムのポイント:

検索時の必要書類:

書類備考
遺言者の死亡を証明する書類除籍謄本など
相続人であることを証明する戸籍謄本遺言者との関係が分かるもの
申出人の本人確認書類マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付き身分証明書、または実印と印鑑登録証明書(発行後3か月以内)
ポイント

公正証書遺言は全国どこの公証役場でも無料で検索できます。検認も不要なので、見つかればすぐに手続きに使えます。

検索の結果、遺言書が存在することが分かった場合は、保管先の公証役場で謄本の交付を請求できます。謄本の交付手数料は1ページあたり250円です。なお、遺言書の正本(原本と同じ効力を持つ写し)は遺言者本人に交付されているため、自宅から正本が見つかることもあります。

公正証書遺言は検認が不要なので、見つかったらそのまま相続手続きに使えます。公証役場で保管されている原本の保存期間は原則20年間ですが、実務上は遺言者の存命中は保管されるのが通常です。

平成元年より前の遺言書

遺言検索システムの対象は平成元年以降に作成されたものに限られます。それ以前に作成された可能性がある場合は、故人の住所地や勤務先の近くにあった公証役場に個別に問い合わせてください。

秘密証書遺言の探し方

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたまま、公証役場で「この遺言書が存在する」という事実だけを証明してもらう方式です。

秘密証書遺言の特徴:

探し方としては、まず公証役場の遺言検索システムで秘密証書遺言の存在を確認し、遺言書の原本自体は自宅の金庫や貸金庫などを探すことになります。遺言者自身が保管しているため、紛失リスクがあるのが難点です。

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遺言書を見つけたら — 検認手続きの全体像

遺言書を見つけた場合、種類によって次に取るべきアクションが異なります。

遺言書の種類・保管場所次のステップ
自筆証書遺言(自宅保管)検認が必要 — 開封せず家庭裁判所へ
自筆証書遺言(法務局保管)検認不要 — 遺言書情報証明書を請求
公正証書遺言検認不要 — 公証役場で謄本を取得
秘密証書遺言検認が必要 — 開封せず家庭裁判所へ

ここからは、検認が必要な場合の手続きを詳しく見ていきます。

遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもと遺言書を開封し、その内容を確認する手続きです。民法1004条で定められています。

検認の目的:

重要な注意点: 検認は遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。検認を受けたからといって遺言書が有効になるわけではなく、逆に検認を受けていなくても遺言書自体が無効になるわけでもありません。ただし、検認を経ていない遺言書では、銀行や法務局での相続手続きを進めることができません。

検認手続きの申立ては、民法1004条の規定により、遺言書を保管している相続人や遺言書を発見した相続人が「遅滞なく」行う義務があります。遺言書を見つけたら、できるだけ早く手続きに着手してください。

検認が不要なケース

以下の場合は検認が不要です。

これらの場合は、検認手続きを経ずにそのまま相続手続きに使うことができます。

検認手続きの流れ

ステップ1: 必要書類の収集

検認の申立てに必要な書類を準備します。

共通の必要書類:

相続人の構成によっては、追加の戸籍謄本が必要になることがあります。たとえば相続人に子がおらず親や兄弟姉妹が相続人になる場合は、それぞれの関係を証明する戸籍が必要です。

戸籍謄本の集め方については「住民票・除票の取り方ガイド」も参考にしてください。

ステップ2: 家庭裁判所への申立て

遺言書を保管している人または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認を申し立てます。

申立書の記載事項:

ステップ3: 検認期日の通知

申立て後、家庭裁判所から相続人全員に対して検認期日の通知が届きます。申立てから検認期日までは、通常1か月〜2か月程度かかります。裁判所が混雑する時期にはさらに長くなることもあります。

ステップ4: 検認の実施

検認期日に家庭裁判所で検認が行われます。

ステップ5: 検認済証明書の取得

検認が終わったら、「検認済証明書」を申請します。この証明書が付いた遺言書でないと、銀行や法務局での相続手続きに使えません。

検認手続きにかかる費用まとめ

費目金額
検認の申立て800円(収入印紙)
連絡用郵便切手数百円〜数千円(裁判所による)
検認済証明書150円(収入印紙)
戸籍謄本等の取得費用1通450〜750円 × 必要通数

専門家に手続きの代行を依頼する場合は、別途報酬が発生します。司法書士や弁護士に依頼した場合の費用は3万〜10万円程度が目安です。戸籍謄本の収集から申立書の作成まで任せられるため、手間を大幅に軽減できます。

なお、検認はあくまで遺言書の「保全」のための手続きです。検認が完了しても、遺言書の内容が法律の要件を満たしていなければ無効になる可能性はあります。自筆証書遺言の場合、全文が自筆で書かれているか、日付・氏名・押印があるかなどの形式要件を満たしている必要があります。内容に疑問がある場合は、弁護士に相談してください。

遺言書を勝手に開封してはいけない理由

自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけた場合、封がしてあるものを家庭裁判所以外で開封することは民法1005条で禁じられています。

民法1005条の規定:

検認手続きを経ずに遺言を執行した場合、または家庭裁判所以外の場所で遺言書を開封した場合は、5万円以下の過料に処せられます。

「過料」は行政上のペナルティであり、刑罰(罰金)とは異なります。前科がつくものではありませんが、法律上のルールとして守る必要があります。

重要: 仮にうっかり開封してしまった場合でも、遺言書自体が無効になるわけではありません。開封してしまったとしても、すみやかに家庭裁判所に検認を申し立ててください。検認手続きは省略できません。

遺言書が見つかった後の相続手続き

遺言書が見つかり、検認が完了した(または検認不要の場合)後は、遺言の内容に従って具体的な相続手続きを進めます。

主な手続きとしては以下のようなものがあります。

一方、遺言の内容に納得できない相続人がいる場合は、遺留分侵害額請求や、相続人全員の合意による遺言と異なる遺産分割も選択肢になります。遺産分割協議については「遺産分割協議のやり方」で詳しく解説しています。

遺言書が見つからなかった場合

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分け方を決めます。協議がまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判に進むことになります。

遺言書がない場合の相続手続き全体の流れは「相続手続きの全体ガイド」にまとめています。

また、相続放棄を検討する場合は期限が3か月以内と短いため、早めに判断が必要です。詳しくは「相続放棄の期限と手続き」をご覧ください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 公正証書遺言の検索は誰でもできますか?

いいえ、遺言者の死亡後に限り、相続人等の利害関係人のみが検索できます。遺言者の生存中は本人しか検索できません。検索の際は、遺言者の死亡を証明する書類(除籍謄本等)と、相続人であることを証明する戸籍謄本、本人確認書類が必要です。検索は全国どこの公証役場でも可能ですが、郵送やオンラインでの検索はできないため、直接公証役場に出向く必要があります。

Q2. 遺言書の検認にはどのくらいの期間がかかりますか?

申立てから検認期日まで、通常1か月〜2か月程度です。家庭裁判所の混雑状況によってはさらに長くなることもあります。戸籍謄本の収集にも2〜4週間かかる場合があるため、遺言書を見つけたら早めに準備を始めてください。なお、検認の申立てに法律上の期限は定められていませんが、民法は「遅滞なく」行うことを求めています。

Q3. 法務局の遺言書保管制度を利用していたか、生前に聞いていない場合はどうすれば調べられますか?

相続人であれば、全国どこの法務局(遺言書保管所)でも「遺言書保管事実証明書」の交付を請求できます(手数料800円)。これにより、故人が法務局に遺言書を保管していたかどうかを確認できます。必要書類は、遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本、相続人であることを証明する戸籍謄本、請求人の住民票、本人確認書類です。

まとめ

遺言書の探し方は種類によって異なります。公正証書遺言は公証役場の検索システムで確認でき、法務局保管の自筆証書遺言は保管事実証明書で確認できます。自宅保管の自筆証書遺言は、金庫や仏壇まわりを中心に探してください。

遺言書を見つけたら、公正証書遺言と法務局保管のものは検認不要でそのまま手続きに使えます。それ以外の遺言書は、開封せずに家庭裁判所で検認を受けてください。

死亡後の手続き全体の中での位置づけを把握したうえで、遺言書の確認を相続手続きの早い段階で済ませておくことをお勧めします。

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