相続手続き

遺産分割協議書の書き方|ひな形・記載例つきでわかりやすく解説

更新日: 2026/2/27読了: 15分

この記事のまとめ

  • 相続人全員で誰が何を受け取るか話し合って決める
  • 協議書には全員が実印で押印し印鑑証明書を添付する
  • 一人でも欠けた協議書は無効になるので注意が必要

遺産分割協議とは

亡くなった方の遺産を、相続人全員で「誰が・何を・どのくらい」受け取るか話し合って決める手続きです。

遺言書がある場合は原則として遺言に従いますが、遺言がない場合、または相続人全員の合意があれば遺言と異なる分割も可能。いずれにしても、遺産を具体的に分けるには、この協議が必要になります。

いつ必要になるか

実務上、遺言書がないケースが大半です。

法定相続分の目安

法律で定められた相続分はあくまで目安。協議で全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で分割できます。

相続人の組み合わせ配偶者他の相続人
配偶者 + 子1/2子で 1/2 を等分
配偶者 + 親(直系尊属)2/3親で 1/3 を等分
配偶者 + 兄弟姉妹3/4兄弟姉妹で 1/4 を等分
子のみ子で全額を等分

協議の進め方

ステップ1: 相続人の確定

故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集めて、法定相続人を確定させます。認知された子や養子がいないか、漏れなく確認することが重要です。戸籍謄本の取得を他の相続人に依頼する場合は「委任状の書き方」を参考にしてください。相続登記の申請時には住民票の除票も必要になるため、戸籍謄本と合わせて取得しておくとスムーズです。相続人の関係を整理するために「相続関係説明図」を作成しておくと、協議や各種手続きで役立ちます。

ステップ2: 相続財産の調査・リストアップ

すべての財産を洗い出します。

プラスの財産:

マイナスの財産:

財産の全体像が見えないまま協議を始めると、後からやり直しになるリスクがあります。

ステップ3: 話し合い

相続人全員で分割方法を協議します。全員が一堂に会する必要はなく、電話やメール、書面のやり取りでも構いません。ただし、相続人全員の合意が必須です。

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ステップ4: 遺産分割協議書の作成

合意内容を書面にまとめます。遺産分割協議書は、銀行の名義変更や不動産の相続登記で提出を求められる重要な書類です。

ステップ5: 各種名義変更手続きへ

協議書が完成したら、不動産の相続登記、預貯金の名義変更・解約、自動車の名義変更などを進めます。

遺産分割協議書に書くべき内容

協議書に決まった様式はありませんが、以下の内容を盛り込む必要があります。

必ず記載する事項:

財産の記載方法:

ポイント

不動産の記載は登記簿(登記事項証明書)の表記通りに正確に書きましょう。住所とは異なる「地番」「家屋番号」を使う必要があります。

署名・押印:

協議書は相続人の人数分を作成し、各自が1通ずつ保管します。

遺産分割協議書の記載例

以下は、不動産と預貯金を2人の相続人で分割する場合の記載例です。実際の作成時は、登記事項証明書や通帳の表記と正確に一致させてください。


遺産分割協議書

被相続人 山田太郎(令和○年○月○日死亡) 最後の住所 東京都○○区○○町一丁目2番3号 生年月日 昭和○年○月○日

上記被相続人の遺産について、共同相続人全員で協議した結果、次のとおり分割することに合意した。

1. 相続人 山田花子 が取得する財産

(1)土地 所在: 東京都○○区○○町一丁目 地番: 123番4 地目: 宅地 地積: 200.00㎡

(2)建物 所在: 東京都○○区○○町一丁目123番地4 家屋番号: 123番4 種類: 居宅 構造: 木造瓦葺2階建 床面積: 1階 80.00㎡ / 2階 60.00㎡

2. 相続人 山田一郎 が取得する財産

(1)預貯金 ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567 の全額

(2)有価証券 ○○証券○○支店 △△株式会社 普通株式 1,000株

3. 本協議書に記載のない遺産が発見された場合は、相続人全員で改めて協議する。

以上のとおり遺産分割協議が成立したことを証するため、本協議書を2通作成し、各自署名押印のうえ各1通を保有する。

令和○年○月○日

住所 東京都○○区○○町四丁目5番6号 山田花子 ㊞

住所 東京都○○区○○町七丁目8番9号 山田一郎 ㊞


注意

この記載例はあくまで参考です。遺産の内容や相続人の状況によって記載すべき事項は異なります。不動産が複数ある場合や債務がある場合は、弁護士・司法書士に相談のうえ作成することをおすすめします。

協議がまとまらない場合

相続人間で合意できないときは、家庭裁判所の手続きに移行します。

手続き内容
調停家庭裁判所の調停委員を交えた話し合い。相続人の一人が申し立てる
審判調停が不成立の場合、裁判官が分割方法を決定する

調停は話し合いの延長で、強制力はありません。調停でもまとまらなければ審判に移行し、裁判所が分割方法を決めます。

注意点

相続人全員の参加が必須

一人でも欠けた状態で作成された協議書は無効です。連絡が取れない相続人がいる場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる必要があります。相続人と連絡が取れない場合は「相続人が行方不明・海外在住の場合」をご確認ください。

注意

相続人が一人でも欠けた状態で作成された遺産分割協議書は無効です。必ず法定相続人を全員確定させてから協議を始めましょう。

未成年者は特別代理人が必要

親と未成年の子が共に相続人になる場合、親が子の代理人を兼ねることはできません(利益相反)。家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。

認知症の方は成年後見人が必要

判断能力が不十分な相続人がいる場合は、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立ててから協議を行います。後見人を立てずに行った協議は無効になる可能性があります。

数次相続に注意する

遺産分割協議の途中で相続人の一人が亡くなった場合、その方の相続人が協議に加わる「数次相続」が発生します。手続きが複雑になるため、詳しくは「数次相続の手続きガイド」をご覧ください。

二次相続を考慮する

配偶者が遺産の大半を取得すると、配偶者が亡くなったとき(二次相続)に子の相続税負担が増えることがあります。相続税の観点では、一次相続と二次相続をセットで考えるのが望ましい。

関連する手続き

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まとめ

遺産分割協議は相続手続きの土台です。銀行口座の解約も、不動産の名義変更も、協議書がなければ進みません。相続人の確定と財産の洗い出しを早めに始めて、10か月の相続税申告期限から逆算して余裕をもって進めてください。

相続手続き全体の流れは「相続手続きの全体ガイド」を、死亡後の手続き一覧は「家族が亡くなったらやること一覧」をご覧ください。

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