火葬許可証・埋葬許可証の取得方法 — 届出先・必要書類・手続きの流れ
目次
この記事のまとめ
- —死亡届と同時に申請しその場で無料発行される
- —火葬後に証印が押され埋葬許可証として使える
- —実務上は葬儀社が手続きを代行するのが一般的
はじめに
ご家族が亡くなった後、火葬を行うためには「火葬許可証」が必要です。この書類がなければ、火葬場で火葬を受け付けてもらうことができません。
火葬許可証は、死亡届を市区町村役場に提出する際にあわせて申請します。書類に不備がなければその場で発行されるため、手続き自体はそれほど難しくありません。ただし、初めて経験される方にとっては「何をどの順番で進めればいいのか」が分かりにくいのも事実です。
この記事では、火葬許可証の申請方法から埋葬許可証との関係、分骨の手続き、紛失時の再発行まで、一連の流れを丁寧に解説します。
火葬許可証とは
火葬許可証とは、故人のご遺体を火葬することを市区町村長が許可したことを証明する書類です。「墓地、埋葬等に関する法律」(墓地埋葬法)第5条に基づき、火葬を行うには市区町村長の許可を受けなければならないと定められています。
火葬許可証がないと、火葬場は火葬を受け付けることができません。つまり、ご家族を火葬して供養するためには、この書類の取得が不可欠です。
なお、自治体によっては「埋火葬許可証」「火葬・埋葬許可証」など名称が異なることがありますが、いずれも同じ性質の書類です。
火葬許可証に記載される内容
火葬許可証には、以下の情報が記載されます。
- 故人の氏名・性別・生年月日
- 死亡年月日・死亡場所
- 故人の本籍・住所
- 申請者の氏名・住所・故人との続柄
- 火葬場の名称
- 許可番号・許可年月日
自治体によって書式は多少異なりますが、記載内容はほぼ共通しています。
埋葬許可証との関係
「火葬許可証」と「埋葬許可証」を別々の書類だと思っている方が少なくありません。実は、この2つは同じ書類です。
仕組みはこうです。
- 市区町村役場で「火葬許可証」が発行される
- 火葬場に火葬許可証を提出し、火葬を行う
- 火葬後、火葬場の管理者が火葬許可証に**「火葬済」の証印**を押して返却する
- この証印が押された火葬許可証が、そのまま**「埋葬許可証」**として機能する
つまり、火葬前は「火葬許可証」として、火葬後は「埋葬許可証」として使われるのです。納骨の際にはこの書類をお墓や納骨堂に提出する必要があるため、火葬後も大切に保管してください。
手続きの全体の流れ
火葬許可証の取得から納骨までの流れを、時系列で整理します。
ステップ1: 死亡診断書を受け取る
医師から死亡診断書(または死体検案書)を受け取ります。この書類は死亡届と一体になっています。用紙の左半分が「死亡届」、右半分が「死亡診断書」です。
死亡診断書は提出前に5〜10部コピーしておいてください。保険金の請求、銀行口座の手続き、年金の届出など、後の手続きで何度も必要になります。詳しくは「死亡届の出し方」をご確認ください。
ステップ2: 死亡届と火葬許可申請書を提出する
死亡届と火葬許可申請書を、市区町村役場の窓口に提出します。
多くの自治体では、死亡届を提出すると同時に火葬許可申請書の記入を求められます。自治体によっては、死亡届の提出だけで火葬許可証を発行してくれるところもあります。窓口で案内に従えば問題ありません。
提出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内です(国外での死亡は3か月以内)。
ステップ3: 火葬許可証を受け取る
書類に不備がなければ、その場で火葬許可証が発行されます。発行手数料は無料です。
受け取った火葬許可証は火葬の日まで大切に保管してください。実務上は葬儀社が預かってくれることが多いです。
ステップ4: 火葬場で火葬を行う
火葬許可証がなければ火葬場で火葬を受け付けてもらえません。紛失しないよう、葬儀社に預けるか安全な場所に保管してください。
火葬の当日、火葬場の受付で火葬許可証を提出します。火葬許可証がなければ火葬は受け付けてもらえません。
なお、「墓地、埋葬等に関する法律」第3条により、死亡後24時間以内は火葬を行うことができません。これは蘇生の可能性を考慮した規定です。ただし、妊娠7か月未満の死産や、感染症による死亡の場合は例外として24時間以内の火葬が認められています。
ステップ5: 埋葬許可証を受け取る
火葬が終わると、火葬場の管理者が火葬許可証に「火葬済」の証印を押して返却してくれます。この証印が押された書類が埋葬許可証です。
拾骨(お骨上げ)の際に、骨壺と一緒に渡されるのが一般的です。
ステップ6: 納骨時に埋葬許可証を提出する
お墓や納骨堂に遺骨を納める際に、埋葬許可証を提出します。納骨は四十九日法要にあわせて行うことが多いですが、時期に法的な期限はありません。納骨先が決まるまでは、自宅で保管しても問題ありません。
埋葬許可証は納骨先の管理者に渡す書類のため、提出後は手元に戻ってきません。将来お墓の引っ越し(改葬)を行う場合には別途手続きが必要になりますので、納骨先の名称や所在地は控えておくとよいでしょう。
- 死亡診断書を受け取り、コピーを5〜10部取る
- 死亡届と火葬許可申請書を市区町村役場に提出する
- 火葬許可証を受け取る(その場で発行・無料)
- 火葬場で火葬許可証を提出し、火葬を行う
- 火葬済の証印が押された埋葬許可証を受け取り保管する
- 納骨時に埋葬許可証をお墓・納骨堂に提出する
届出先
火葬許可申請書は、以下のいずれかの市区町村役場に提出します。
| 提出先 | 説明 |
|---|---|
| 死亡地の市区町村役場 | 病院や施設がある自治体 |
| 届出人の所在地の市区町村役場 | 届出人の住所地 |
| 故人の本籍地の市区町村役場 | 戸籍がある自治体 |
提出先は死亡届と同じです。ほとんどの役場は24時間365日受付に対応しています。夜間・休日は守衛室や当直窓口での対応になります。
家族が亡くなった直後の対応については「家族が亡くなった直後にやるべき5つのこと」で全体像を説明しています。
必要書類
火葬許可申請に必要な書類は以下の通りです。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 死亡届(死亡診断書付き) | 医師が右半分を記入済み。左半分を届出人が記入 |
| 火葬許可申請書 | 役場窓口で用紙を受け取り、その場で記入 |
| 届出人の本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
印鑑は不要です。 2021年(令和3年)9月の法改正により、死亡届・火葬許可申請書への押印は任意になりました。ただし、念のため持参しておくと安心です。一部の自治体では、慣例として押印を求められることがあります。
発行手数料は無料です。
火葬許可申請書の記入項目
火葬許可申請書に記入する主な項目は以下の通りです。
- 故人の氏名・性別・生年月日
- 死亡年月日
- 故人の本籍・住所
- 申請者の氏名・住所・故人との続柄
- 火葬場の名称・所在地
- 火葬予定日
記入に迷った場合は、窓口の職員に相談すれば丁寧に教えてもらえます。
申請は誰ができるか
火葬許可の申請者は、死亡届の届出人と同じ範囲の方に限られます。
- 同居の親族
- 同居していない親族
- 同居者(親族でなくても可)
- 家主・地主・家屋管理人・土地管理人
- 後見人・保佐人・補助人・任意後見人・任意後見受任者
実際には、葬儀社が代行するケースが大半です。届出人欄にはご遺族が署名し、役場への持参と手続きは葬儀社のスタッフが行う形です。葬儀の打ち合わせの際に「死亡届と火葬許可の手続きもお願いできますか」と確認してみてください。
死亡届の提出から火葬許可証の受け取りまで、実務上は葬儀社がすべて代行してくれることがほとんどです。葬儀の打ち合わせ時に依頼しましょう。
葬儀社を利用せず、ご遺族が自分で手続きを行うことも可能です。直葬(火葬式)を選ぶ場合など、葬儀社を通さないケースでは、ご自身で役場の窓口に出向いて手続きすることになります。
火葬場の予約方法
火葬許可証を取得したら、次は火葬場の予約です。
予約は葬儀社に任せるのが一般的
火葬場の予約は、葬儀社が代行してくれることがほとんどです。ご家族が直接火葬場に連絡する必要はありません。葬儀の打ち合わせ時に、希望の日時を伝えれば葬儀社が手配を進めてくれます。
混雑する時期に注意
以下のような時期は火葬場が混み合い、希望日に予約が取れないことがあります。
- 年末年始(1月1日〜3日は休業の火葬場が多い)
- 友引の翌日(友引の日は休業する火葬場が多く、翌日に予約が集中する)
- 冬場(12月〜2月は亡くなる方が多く、全体的に混雑する傾向)
都市部では1週間〜10日ほど待つこともあります。葬儀社に早めに相談しておくことが大切です。
なお、火葬場の予約は死亡届を提出する前でも行えます。葬儀社は、死亡の連絡を受けた時点で火葬場の空き状況を確認し、仮予約を入れてくれることが多いです。火葬の日程が決まってから死亡届を提出する、という流れも珍しくありません。
火葬料金の目安
火葬料金は自治体や火葬場によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
| 区分 | 料金の目安 |
|---|---|
| 公営火葬場(住民) | 無料〜数万円 |
| 公営火葬場(住民以外) | 3万〜6万円程度 |
| 民営火葬場 | 5万〜15万円程度 |
お住まいの自治体の公営火葬場であれば、無料または低額で火葬できるケースが多いです。葬儀費用の全体像については「葬儀費用の相場と使える補助金・給付金」で詳しく解説しています。
分骨する場合の手続き
ご遺骨を複数の場所に分けて納めたい場合(分骨)は、追加の手続きが必要です。
火葬当日に分骨する場合
火葬の当日に分骨を希望する場合は、火葬場で「分骨証明書」を発行してもらいます。
手順は以下の通りです。
- 火葬の前に、葬儀社または火葬場のスタッフに分骨の希望を伝える
- 分骨先の数だけ分骨証明書の発行を依頼する
- 分骨用の骨壺を用意する(事前に葬儀社に相談)
- 拾骨(お骨上げ)の際に、分骨分を別の骨壺に納める
- 分骨証明書を受け取る
分骨証明書の発行手数料は、火葬場によって異なりますが、1通あたり数百円程度です。
火葬後に分骨する場合
すでに納骨を済ませたお墓から分骨する場合は、お墓の管理者に分骨証明書の発行を依頼します。あるいは、火葬を行った市区町村役場で「火葬証明書」を取得し、それをもとに手続きを進めることもできます。
分骨先のお墓や納骨堂に遺骨を納める際には、分骨証明書の提出が必要です。これは「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」で定められています。
分骨の注意点
- 分骨先の数だけ分骨証明書が必要です(1か所につき1通)
- 分骨を予定している場合は、できるだけ火葬当日に手続きを済ませるのがスムーズです
- 手元供養(自宅に遺骨の一部を置く)の場合、分骨証明書は不要です。ただし、将来どこかに納骨する可能性があるなら、念のため取得しておくことをおすすめします
火葬許可証を紛失した場合の再発行
火葬許可証(埋葬許可証)を紛失してしまった場合でも、再発行は可能です。ただし、手続き方法は火葬からの経過年数によって異なります。
火葬から5年以内の場合
死亡届を受理した市区町村役場で再発行の手続きができます。
役場には火葬許可証の記録が5年間保存されているため、比較的スムーズに再発行してもらえます。
必要なもの:
- 申請者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 故人との関係を証明できる書類(戸籍謄本など)
- 再発行手数料(自治体による。数百円程度)
火葬から5年を超えた場合
5年を超えると、役場での記録が廃棄されている場合があります。その場合は、以下の手順で手続きを行います。
- 火葬場で「火葬証明書」を取得する
- 火葬証明書・本人確認書類・印鑑を持って、死亡届を受理した市区町村役場へ
- 役場で埋葬許可証の再発行を申請する
火葬場の記録は長期保存されていることが多いため、5年を超えていても火葬証明書を取得できる可能性は高いです。
郵送での再発行
遠方で窓口に行けない場合は、郵送で再発行を申請できる自治体もあります。事前に電話で確認してから手続きを進めてください。
手続きでよくあるトラブルと対処法
死亡届の届出人と火葬許可の申請者が異なる場合
原則として、死亡届の届出人と火葬許可の申請者は同一人物である必要があります。ただし、窓口への持参は代理人でも可能です。葬儀社に代行を依頼する場合は、届出人欄にご遺族の署名があれば問題ありません。
火葬許可証を火葬場に忘れてきた場合
火葬後の埋葬許可証は骨壺と一緒に渡されるのが通常ですが、万が一受け取り忘れた場合は、火葬場に連絡すれば保管してくれています。早めに取りに行きましょう。
死亡届の提出が遅れた場合
死亡届の提出期限(7日以内)を過ぎてしまっても、届出は受理されます。届出が遅れたからといって火葬許可証が発行されないということはありません。正当な理由なく届出が遅れると5万円以下の過料が科される可能性がありますが、やむを得ない事情があれば柔軟に対応してもらえるのが実情です。いずれにせよ、できるだけ速やかに届け出てください。
その後の手続き全体を確認したい方は「家族が亡くなったらやること一覧」で期限順に整理しています。
火葬許可証に関連するその他の手続き
火葬許可証の取得前後で、並行して進めるべき手続きがあります。
- 年金の受給停止届: 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に届出が必要です。詳しくは「年金受給停止届の手続き」をご確認ください。
- 健康保険の資格喪失届: 14日以内の届出が必要です。「健康保険の資格喪失届の出し方」で手続きの流れを解説しています。
- 世帯主変更届: 該当する場合は14日以内。「世帯主変更届の出し方」をご参照ください。
- 相続手続き: 相続放棄は3か月以内。「相続手続きガイド」で全体像を確認できます。
- 銀行口座の手続き: 口座凍結の解除や名義変更も必要です。「銀行口座の凍結と解除の手続き」をご参照ください。
よくある質問
火葬許可証の申請は葬儀社に任せても大丈夫ですか?
はい、問題ありません。実際、多くのご遺族が死亡届の提出から火葬許可証の受け取りまでを葬儀社に代行してもらっています。届出人欄にご遺族が署名し、窓口への提出は葬儀社スタッフが行う形です。葬儀の打ち合わせ時に「手続きの代行もお願いできますか」と確認してください。
火葬許可証と埋葬許可証は別々に申請する必要がありますか?
いいえ、別々に申請する必要はありません。火葬許可証を取得し、火葬後に火葬場で「火葬済」の証印を押してもらえば、その書類がそのまま埋葬許可証として使えます。追加の申請手続きは不要です。
埋葬許可証はいつまで保管すればよいですか?
納骨が完了するまで保管してください。納骨先(お墓や納骨堂)に遺骨を納める際に提出が必要です。納骨の時期に法的な期限はありませんが、四十九日法要にあわせるのが一般的です。紛失すると再発行の手間がかかるため、骨壺と一緒に保管しておくのがおすすめです。
まとめ
火葬許可証の手続きは、流れさえ分かっていれば決して難しいものではありません。死亡届の提出と同時に申請でき、その場で発行されます。手数料も無料です。
ポイントを整理すると、以下の通りです。
- 死亡届と火葬許可申請書を市区町村役場に同時に提出する
- 書類に不備がなければ、その場で火葬許可証が発行される
- 火葬後に証印が押された火葬許可証が、そのまま埋葬許可証になる
- 分骨する場合は、火葬当日に分骨証明書を取得するのがスムーズ
- 紛失した場合は、5年以内なら市区町村役場で再発行できる
- 実務上は葬儀社が代行してくれることがほとんど
大切な方を亡くされた直後は、気持ちの整理がつかない中で多くの手続きに追われます。葬儀社のサポートを積極的に活用しながら、一つずつ進めていってください。
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