生活・名義変更

お墓の承継・改葬手続き — 名義変更・墓じまい・納骨の流れ

更新日: 2026/2/27読了: 27分

この記事のまとめ

  • お墓は祭祀承継者が単独で引き継ぐ
  • 改葬には市区町村の改葬許可証が必要
  • 永代供養・樹木葬・散骨など多様な選択肢

はじめに

家族が亡くなると、お墓に関する手続きが必要になることがあります。「誰がお墓を継ぐのか」「遠方のお墓を近くに移したい」「墓じまいをしたいがどう進めればいいか」――こうした悩みを抱える方は少なくありません。

お墓は民法上「祭祀財産」に分類され、一般の相続財産とは扱いが異なります。遺産分割協議の対象にはならず、「祭祀承継者」と呼ばれる一人が引き継ぐ仕組みです。

この記事では、お墓の承継(名義変更)、改葬(お墓の引っ越し)、墓じまい、納骨の手続きについて、必要書類や費用相場とあわせて解説します。当てはまる部分だけ読んでいただければ十分です。

なお、亡くなった直後に必要な手続きの全体像は「家族が亡くなったらやること一覧」でまとめています。まずは優先度の高い手続きを済ませてから、お墓のことはゆっくり考えても問題ありません。

お墓の承継とは

祭祀財産と祭祀承継者

お墓・仏壇・位牌などの祭祀財産は、民法第897条の規定により、一般の相続財産とは分けて扱われます。預貯金や不動産のように相続人全員で分割するのではなく、祭祀承継者が単独で引き継ぎます。相続税の課税対象にもなりません。

祭祀承継者は以下の優先順位で決まります。

優先順位決定方法
1故人の遺言または生前の指定(口頭・書面を問わない)
2慣習(地域や一族の慣わし)
3家庭裁判所の調停・審判

法律上、承継者は親族に限られません。友人や知人でも指定できます。また、必ずしも長男が継ぐものと決まっているわけではありません。遺言による指定がない場合は、家族間で話し合い、実際に管理できる人が引き受けるのが現実的です。

承継者が負う役割

祭祀承継者は、お墓の管理・維持に関する以下のような役割を担います。

ただし、「承継者がすべての費用を一人で負担しなければならない」という法的義務はありません。親族間で費用を分担することも可能です。

承継手続きの流れ(お墓の名義変更)

祭祀承継者が決まったら、墓地管理者に対して名義変更の届出を行います。手続きの流れは墓地の種類によって異なります。

ステップ1: 墓地の種類を確認する

墓地の種類届出先
公営霊園(都立霊園・市営霊園など)自治体の担当窓口
民営霊園霊園の管理事務所
寺院墓地菩提寺の住職

ステップ2: 必要書類を準備する

一般的に必要となる書類は以下のとおりです。墓地管理者によって異なる場合がありますので、事前に確認してください。

書類備考
墓地使用権承継承認申請書管理者所定の用紙
墓地使用許可証(永代使用許可証)故人が保管していたもの
故人の除籍謄本(死亡の記載があるもの)市区町村役場で取得
承継者の戸籍謄本市区町村役場で取得
承継者の住民票市区町村役場で取得
承継者の印鑑登録証明書市区町村役場で取得
故人と承継者の関係がわかる書類戸籍謄本等で確認

遺言書で祭祀承継者に指定されている場合は、遺言書の写しが必要になることもあります。

戸籍謄本の取得方法については「住民票・戸籍の取り方」で詳しく解説しています。

ステップ3: 届出と手数料の支払い

書類を提出し、名義変更の手数料を支払います。手数料の目安は以下のとおりです。

墓地の種類手数料の目安
公営霊園数百円〜数千円(東京都立霊園は1,600円)
民営霊園数千円〜1万円以上
寺院墓地手数料は数千円程度 + お布施を包む場合あり

寺院墓地の場合は檀家の地位も引き継ぐことが多いため、今後のお付き合いについて住職と相談しておくとよいでしょう。

ポイント

届出先は墓地の種類によって異なります。公営霊園は自治体の担当窓口、民営霊園は管理事務所、寺院墓地は菩提寺の住職に問い合わせてください。

承継手続きの期限

法律上、承継手続きに明確な期限はありません。ただし、長期間放置すると墓地の管理料が未払いとなり、無縁墓として撤去される可能性 があります。公営霊園では管理料の滞納が一定期間(自治体によって5〜10年程度)続くと、使用権が取り消されるケースもあります。故人が亡くなったら、数か月以内を目安に手続きを進めてください。

注意

管理料を長期間滞納すると、無縁墓として墓石が撤去される可能性があります。公営霊園では5〜10年程度の滞納で使用権が取り消されるケースもあるため、早めに承継手続きを行いましょう。

改葬(お墓の引っ越し)の手続き

改葬とは、すでに埋葬・収蔵されている遺骨を別のお墓や納骨堂に移すことです。「墓地、埋葬等に関する法律」第5条に基づき、市区町村長の許可(改葬許可証) が必要です。無許可で遺骨を移すことはできません。

改葬が必要になるケース

改葬手続きの流れ

改葬の手続きは以下の5ステップで進めます。

ステップ1: 移転先(改葬先)を決める

まず、遺骨を移す先の墓地・霊園・納骨堂を決めます。改葬先の管理者から「受入証明書(使用許可証)」を発行してもらいます。改葬先が決まっていないと、改葬許可の申請ができません。

ステップ2: 現在の墓地管理者から埋蔵証明書を取得する

現在の墓地管理者(寺院の住職や霊園の管理事務所)に、遺骨が埋蔵されていることを証明する「埋蔵証明書(埋葬証明書)」を発行してもらいます。

寺院墓地の場合、改葬を申し出ると「離檀料」を求められることがあります。一般的に5万〜20万円程度とされますが、法的な支払い義務はありません。トラブルになりそうな場合は、弁護士や行政書士に相談するのも一つの方法です。

ステップ3: 改葬許可申請書を提出する

現在の墓地がある市区町村役場 に以下の書類を提出します。

書類備考
改葬許可申請書役場の窓口またはWebサイトからダウンロード
埋蔵証明書現在の墓地管理者が発行
受入証明書改葬先の管理者が発行
申請者の本人確認書類運転免許証など

申請書の様式は自治体ごとに異なります。遺骨が複数体ある場合は、1体ごとに申請が必要な自治体もあります。手数料は無料〜数百円程度です。

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ステップ4: 改葬許可証を受け取る

書類に不備がなければ、申請から 3日〜1週間程度 で改葬許可証が交付されます。この許可証は改葬先の墓地管理者に提出する必要がありますので、大切に保管してください。なお、改葬許可証に有効期限はありません。

ステップ5: 遺骨を取り出して改葬先に納骨する

現在のお墓から遺骨を取り出します(閉眼供養・魂抜きを行う場合はこのタイミングです)。遺骨を改葬先に持参し、改葬許可証を提出して納骨します。改葬先で開眼供養を行う場合もあります。

改葬にかかる費用

項目費用の目安
改葬許可申請の手数料無料〜数百円
埋蔵証明書の発行無料〜数千円
閉眼供養(魂抜き)のお布施3万〜5万円
遺骨の取り出し作業3万〜5万円
改葬先の永代使用料改葬先による(後述)
開眼供養のお布施3万〜5万円
離檀料(寺院墓地の場合)5万〜20万円(発生しない場合もある)

合計すると、改葬先の費用を除いても 15万〜40万円程度 がかかるケースが多いです。改葬先の墓地使用料を含めると、全体で 50万〜200万円程度 になることもあります。

墓じまいの流れと費用相場

墓じまいとは

墓じまいとは、既存のお墓を撤去し、墓地の区画を管理者に返還することです。改葬の一形態であり、遺骨を別の場所に移す手続き(改葬許可)は同様に必要です。お墓を片付けるだけで終わりではなく、中の遺骨の行き先を決めることがセットになります。

墓じまいの手順

  1. 親族への相談と合意形成
  2. 遺骨の移転先を決める(永代供養、散骨、樹木葬など)
  3. 改葬許可証の取得(手続きは前章のとおり)
  4. 閉眼供養(お性根抜き)を行う
  5. 石材店に墓石の撤去・区画の原状回復を依頼する
  6. 墓地管理者に区画を返還する
  7. 遺骨を新しい供養先に移す

墓じまいの費用相場

項目費用の目安
墓石の解体・撤去費用10万〜50万円
区画の原状回復(整地)費用2万〜10万円
閉眼供養のお布施3万〜5万円
改葬許可申請の手数料無料〜数百円
離檀料(寺院墓地の場合)5万〜20万円

墓石の撤去費用は墓石の大きさ・重さや区画の広さ、立地条件(重機が入れるかどうか)によって大きく変わります。墓じまいの総額は 30万〜100万円程度 が目安ですが、改葬先の費用を含めると100万円を超えるケースも珍しくありません。

石材店の選び方

墓石の撤去工事は石材店に依頼します。公営霊園であれば自分で石材店を選べますが、寺院墓地や民営霊園では指定業者がある場合もあります。複数の業者から見積もりを取ることで、費用を比較できます。

相続手続きの全体像については「相続手続きの基本ガイド」も参考にしてください。

納骨の手続き・時期

納骨の時期

納骨の時期に法律上の決まりはありません。一般的には以下のタイミングで行われます。

タイミング備考
四十九日法要すでにお墓がある場合に最も多い
百か日法要四十九日に間に合わなかった場合
一周忌お墓の建立が間に合わなかった場合など
それ以降三回忌やお彼岸・お盆に合わせるケースも

新たにお墓を建てる場合、墓石の完成までに2〜3か月かかることが一般的です。四十九日までに間に合わないケースも多いため、無理にスケジュールを合わせる必要はありません。遺骨は自宅で保管しても法律上問題ありません。

納骨に必要な書類

書類備考
埋葬許可証(火葬許可証に火葬執行済の印が押されたもの)火葬場で受け取る
墓地使用許可証墓地管理者から発行

埋葬許可証は、墓地管理者に提出します。「墓地、埋葬等に関する法律」第14条の規定により、墓地管理者は埋葬許可証を受理しなければ納骨を行うことができません。

火葬許可証・埋葬許可証の取得の流れについては「死亡届の出し方」で解説しています。

納骨式の費用

項目費用の目安
納骨作業料(カロートの開閉)2万〜5万円
読経のお布施3万〜5万円
彫刻料(墓石への戒名・名前の刻印)3万〜5万円

永代供養・散骨・樹木葬の選択肢

「お墓の後継ぎがいない」「子どもに負担をかけたくない」といった理由で、従来のお墓以外の供養方法を選ぶ方が増えています。主な選択肢と費用の目安をまとめました。

永代供養

永代供養とは、墓地や寺院が遺族に代わって長期間にわたり供養・管理を行う仕組みです。承継者がいなくても安心できるのが最大のメリットです。

埋葬方法費用の目安特徴
合祀型(合葬墓)5万〜30万円他の方の遺骨と一緒に埋葬。最も費用が安い
集合墓10万〜60万円共用の墓石の下に個別スペースで納骨
単独墓30万〜150万円個別の墓石を建てるが、管理は霊園に委託

合祀型の場合、一度合祀されると遺骨を取り出すことはできません。将来的に別の場所に移す可能性がある場合は、個別安置の期間がある集合墓や単独墓を選んでおくほうがよいでしょう。

樹木葬

樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする埋葬方法です。自然に還りたいという希望をお持ちの方に選ばれています。

タイプ費用の目安
合葬型5万〜20万円
共同埋葬型20万〜60万円
個別埋葬型50万〜150万円

海洋散骨

遺骨を粉末状にして海に撒く方法です。散骨自体には行政への届出義務はありませんが、「墓地、埋葬等に関する法律」の趣旨や自治体の条例に反しないよう、専門業者に依頼するのが一般的です。漁場・養殖場・海水浴場の近くでは散骨できません。

プラン費用の目安
委託散骨(業者に一任)2万〜5万円
合同散骨(複数家族で乗船)10万〜20万円
チャーター散骨(貸切乗船)15万〜40万円

散骨業者に依頼する場合は、埋葬許可証のコピーが必要になります。

納骨堂

屋内の施設に遺骨を収蔵する方法です。天候を気にせずお参りでき、都市部ではアクセスのよい場所にあることが多いのが利点です。費用は10万〜200万円と幅が広く、施設の立地や個別スペースの広さによって異なります。

故人の銀行口座やその他の名義変更手続きについては「公共料金の名義変更」や「銀行口座の凍結と払い戻し」も確認しておきましょう。

費用の目安まとめ

最後に、お墓関連の主な手続きにかかる費用を一覧にまとめます。

手続き費用の目安
お墓の承継(名義変更)数百円〜1万円(手数料のみ)
改葬(お墓の引っ越し)15万〜40万円(改葬先の費用を除く)
墓じまい30万〜100万円(改葬先の費用を除く)
納骨式8万〜15万円
永代供養(合祀型)5万〜30万円
樹木葬5万〜150万円
海洋散骨2万〜40万円
納骨堂10万〜200万円

金額はあくまで目安です。地域や施設によって大きく異なりますので、複数の業者・施設から見積もりや資料を取り寄せて比較することをおすすめします。

亡くなった後のお金に関する手続き全般は「死亡後のお金の手続き」でまとめています。あわせてご確認ください。

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よくある質問

Q. お墓の承継者は長男でなければいけませんか?

いいえ、法律上の決まりはありません。祭祀承継者は故人の遺言による指定が最優先であり、指定がなければ慣習、それでも決まらなければ家庭裁判所の審判で定めます。性別や出生順に関係なく、次男・長女・親族以外の人でも承継者になれます。実際にお墓の管理ができる方が引き受けるのが現実的です。

Q. 改葬許可証はどこで取得できますか?

遺骨が現在埋葬されている墓地の所在地を管轄する市区町村役場 で申請します。改葬先の自治体ではありませんのでご注意ください。申請に必要な書類は、改葬許可申請書・埋蔵証明書・受入証明書の3点が基本です。手数料は無料〜数百円程度で、交付までの目安は3日〜1週間です。

Q. 墓じまいをしたいのですが、親族の同意は法的に必要ですか?

法律上、祭祀承継者が単独で墓じまいを決定する権限を持ちます。ただし、親族に相談せずに進めると感情的なトラブルに発展するケースが少なくありません。お墓は故人を偲ぶ場所であり、複数の親族がお参りしている場合もあります。法的義務はなくとも、事前に親族へ丁寧に説明し、合意を得てから進めることを強くおすすめします。

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