生前対策

成年後見制度の基礎知識 — 種類・申立て方法・費用をわかりやすく解説

更新日: 2026/2/27読了: 12分

この記事のまとめ

  • 成年後見制度は判断能力が不十分な人の財産管理・身上保護を支援する制度
  • 法定後見(後見・保佐・補助)と任意後見の2種類がある
  • 申立ては家庭裁判所に行い、費用は申立費用と後見人報酬が発生する

はじめに

認知症や精神障害などで判断能力が不十分になった場合、預金の引き出しや不動産の売却、介護施設への入所契約といった重要な法律行為が自分ではできなくなることがあります。

成年後見制度は、そうした方の権利を守り、財産管理や生活に必要な契約を支援するための制度です。家族が知っておくべき基本的な仕組みを解説します。

成年後見制度とは

成年後見制度は、判断能力が不十分な成年者を法的に保護・支援する制度です。民法に定められており、大きく「法定後見」と「任意後見」の2つに分かれます。

区分法定後見任意後見
利用するタイミング判断能力が低下した後判断能力があるうちに契約
後見人の選任家庭裁判所が選任本人があらかじめ選ぶ
開始の手続き家庭裁判所への申立て任意後見監督人の選任申立て
本人の意思反映限定的高い

法定後見の3つの類型

法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて3つの類型があります。

後見

判断能力が常に欠けている状態の方が対象です。最も支援の範囲が広い類型です。

保佐

判断能力が著しく不十分な方が対象です。

補助

判断能力が不十分な方が対象です。3類型の中で最も軽い支援です。

類型判断能力の程度代理権同意権・取消権
後見常に欠けている包括的日常生活に関する行為以外すべて
保佐著しく不十分審判で付与民法13条1項の行為(+審判で追加可)
補助不十分審判で付与審判で定めた特定の行為
注意

成年後見制度を利用すると、後見人の同意なく行った重要な法律行為は取り消される可能性があります。本人の行動の自由が一定程度制限されるため、必要最小限の類型を選ぶことが大切です。

任意後見制度

任意後見とは

任意後見は、本人がまだ判断能力のあるうちに、将来の後見人(任意後見受任者)と契約を結んでおく制度です。

手続きの流れ

  1. 本人と任意後見受任者が契約内容を決める
  2. 公証役場で任意後見契約を公正証書で作成する
  3. 法務局に登記される
  4. 本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる
  5. 監督人が選任されると、任意後見が開始する
ポイント

任意後見契約は、本人の意思で後見人を選び、支援内容も自分で決められる点が最大のメリットです。元気なうちに準備しておくことで、将来の不安に備えられます。エンディングノートの書き方もあわせて検討するとよいでしょう。

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法定後見の申立て手続き

申立てができる人

申立先

本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

必要書類

審理の流れ

  1. 申立て: 家庭裁判所に書類を提出
  2. 審問・調査: 裁判官が本人・申立人・後見人候補者から事情を聴取
  3. 鑑定: 必要に応じて医師による精神鑑定(省略されることも多い)
  4. 審判: 裁判所が後見人を選任し、審判を下す
  5. 登記: 法務局に後見登記が行われる

申立てから審判まで通常 1〜3か月程度 かかります。

費用

申立て費用

費目金額の目安
収入印紙(申立手数料)800円(後見)、800円(保佐・補助)
登記手数料(収入印紙)2,600円
郵便切手3,000〜5,000円程度
診断書作成費用5,000〜1万円程度
鑑定費用(必要な場合)5〜10万円程度

後見人の報酬

後見人には報酬が発生します。金額は家庭裁判所が本人の財産額や後見事務の内容を考慮して決定します。

報酬は本人の財産から支払われます。

後見監督人

家庭裁判所は必要に応じて後見監督人を選任します。後見監督人は後見人の事務を監督し、不正を防止する役割を担います。

親族が後見人に選任された場合や、本人の財産額が大きい場合に選任されることが多いです。

制度のメリット・デメリット

メリット

デメリット

成年後見制度よりも柔軟な財産管理を希望する場合は「家族信託」の活用も検討してください。身寄りのない方やおひとりで備えを進めたい方は「おひとりさまの終活ガイド」も参考になります。

相続の全体的な相談窓口については「相続の相談窓口一覧」、法定相続人の調べ方は「法定相続人の調べ方」もあわせてご覧ください。

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まとめ

判断能力が低下してからでは選択肢が限られます。元気なうちに任意後見契約を検討することが、将来の安心につながります。

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