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準確定申告のやり方 — 期限・対象者・必要書類をやさしく解説

更新日: 2026/2/27読了: 21分

この記事のまとめ

  • 故人の1月1日〜死亡日の所得税を相続人が代わりに申告
  • 期限は相続開始を知った日の翌日から4か月以内
  • 還付金が出た場合は相続財産として相続税の課税対象になる

準確定申告とは

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)に代わって、相続人が故人の所得税を申告・納税する手続きです。

通常の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得について翌年に行います。しかし、年の途中で亡くなった場合は12月31日を待てませんので、1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに申告します。これが「準確定申告」と呼ばれる手続きです。

「確定申告は本人がするもの」というイメージがあるかもしれませんが、故人に一定の所得があった場合は、相続人に申告義務が引き継がれます。期限もあるため、早めに確認しておくことが大切です。

準確定申告が必要なケース・不要なケース

申告が必要なケース

故人が以下のいずれかに該当する場合、準確定申告が必要です。

申告が不要なケース

一方、以下に該当する場合は原則として準確定申告は不要です。

ただし、申告が不要なケースでも、医療費控除などで税金の還付を受けられる場合は、準確定申告をした方が有利になります。還付申告は義務ではありませんが、払い過ぎた税金が戻る可能性があるため、一度確認してみてください。医療費控除を適用する場合の計算方法は「準確定申告の医療費控除」で詳しく解説しています。

申告期限 — 4か月以内

準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

多くの場合、「相続の開始があったことを知った日」は死亡日と同じになります。たとえば、4月15日に亡くなった場合、申告期限は8月15日です。

死亡日(例)申告期限
1月10日5月10日
4月15日8月15日
9月30日翌年1月30日

通常の確定申告(翌年3月15日まで)と比べて期間が短いため、注意が必要です。相続の発生後は、葬儀や各種届出で慌ただしい時期ですが、4か月はあっという間に過ぎてしまいます。

期限を過ぎてしまうと、納付税額がある場合は無申告加算税(原則15〜20%)や延滞税が課されます。一方、還付申告の場合は5年以内であれば提出可能です。

注意

準確定申告の期限は「4か月以内」と通常の確定申告より短く、延長制度もありません。葬儀後すぐに書類収集を始めてください。

相続手続き全体の期限については「相続手続きの全体ガイド」で時系列順に整理しています。

申告する人 — 相続人全員

準確定申告は、相続人全員が連署して行うのが原則です。

相続人が複数いる場合は、申告書に「死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付し、各相続人の氏名・住所・相続分などを記載します。

代表者による提出も可能

相続人の一人が代表して申告書を提出することもできます。この場合、準確定申告の内容を他の相続人に通知する義務があります。

実務上は、相続人の中から代表者を決めて手続きを進めるケースが多いです。

ポイント

相続人が複数いる場合は連署が原則ですが、代表者1人が提出して他の相続人に通知する方法でも問題ありません。

相続放棄した人は?

相続放棄をした人は、最初から相続人でなかったものとみなされるため、準確定申告の義務はありません。相続放棄について詳しくは「相続放棄の期限と手続き」をご覧ください。

手続きの流れ

準確定申告は、次の5つのステップで進めます。

ステップ1: 故人の所得を確認する

まず、故人に申告が必要な所得があるかどうかを確認します。以下の資料を集めましょう。

ステップ2: 所得と控除を計算する

1月1日から死亡日までの所得金額を計算し、適用できる控除を整理します。計算期間についてはこの記事の後半で詳しく説明します。

ステップ3: 申告書を作成する

確定申告書(通常の書式と同じもの)に記入します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用することも可能です。相続人が2人以上いる場合は、付表も作成します。

ステップ4: 必要書類を揃える

後述する必要書類を準備します。

ステップ5: 税務署に提出する

書類一式を税務署に提出し、納税額がある場合は納付します。

届出先 — 故人の住所地の税務署

準確定申告書の提出先は、故人が死亡時に住んでいた住所地を管轄する税務署です。

相続人の住所地の税務署ではない点に注意してください。故人が遠方に住んでいた場合は、郵送で提出することもできます。

管轄の税務署は、国税庁のウェブサイト「税務署の所在地などを知りたい方」から検索できます。

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必要書類

準確定申告に必要な主な書類は以下のとおりです。

全員共通で必要なもの

書類入手先
確定申告書(第一表・第二表)国税庁サイト or 税務署
付表(相続人が2人以上の場合)国税庁サイト or 税務署
故人の源泉徴収票勤務先・年金機構
故人のマイナンバーが確認できる書類
相続人全員のマイナンバーが確認できる書類
相続人の本人確認書類

状況に応じて必要なもの

死亡後のお金に関する手続き全般については「死亡後のお金の手続きまとめ」も合わせてご確認ください。

所得の計算期間

準確定申告で計算する所得の期間は、その年の1月1日から死亡日までです。

たとえば、8月20日に亡くなった場合は、1月1日〜8月20日の所得が対象になります。

給与所得の場合

死亡日までに支給日が到来している給与が対象です。死亡後に支給された給与(死亡日後に支給日が到来するもの)は、準確定申告の対象ではなく、相続財産として扱われます。

年金所得の場合

死亡日までに支給日が到来した年金が対象です。死亡後に振り込まれた未支給年金は、受け取った相続人の一時所得となります。

事業所得・不動産所得の場合

1月1日から死亡日までの売上・経費を集計します。

医療費控除の特例

準確定申告でも医療費控除を適用できますが、対象となる医療費には制限があります。

対象になるもの

故人が死亡日までに支払った医療費が対象です。

対象にならないもの

故人の入院費用などを死亡後に相続人が支払った場合、その医療費は準確定申告では控除できません。

ただし、故人と生計を一にしていた相続人が支払った場合は、その相続人自身の確定申告で医療費控除の対象にできます。

支払いの時期誰が控除できるか
死亡日までに故人が支払い準確定申告で控除
死亡後に相続人が支払い(生計を一にしていた)相続人自身の確定申告で控除
死亡後に相続人が支払い(生計別)控除不可

注意点

還付金は相続財産になる

準確定申告の結果、所得税の還付金が発生した場合、その還付金は相続財産として相続税の課税対象になります。

一方、還付金に付される還付加算金(利息に相当するもの)は、相続財産ではなく、受け取った相続人の雑所得として所得税の課税対象になります。

相続税の申告については「相続税の申告 — 基礎控除の計算・申告期限・必要書類」で詳しく解説しています。

複数の相続人がいる場合

納付税額・還付金額は、各相続人の法定相続分(または遺産分割協議で決めた割合)に応じて按分します。付表にそれぞれの金額を記載してください。

前年分の確定申告も必要な場合がある

故人が1月1日〜3月15日の間に亡くなり、前年分の確定申告がまだ済んでいなかった場合は、前年分と死亡年分の2年分の準確定申告が必要です。どちらも期限は死亡を知った日の翌日から4か月以内です。

青色申告の場合

故人が青色申告をしていた場合、準確定申告でも青色申告の特典(青色申告特別控除など)を受けられます。ただし、相続人が事業を引き継ぐ場合は、改めて青色申告承認申請書を提出する必要があります。

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よくある質問

Q. 準確定申告は税理士に頼んだ方がいいですか?

故人に事業所得や不動産所得がある場合、あるいは相続人が複数いて按分計算が必要な場合は、税理士に依頼することをおすすめします。一方、給与所得や年金所得のみで計算がシンプルなケースであれば、ご自身で対応することも十分可能です。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、案内に沿って入力するだけで申告書が作成できます。不明な点は税務署の窓口で相談できます。

Q. 準確定申告と相続税の申告は別の手続きですか?

はい、まったく別の手続きです。準確定申告は故人の所得税に関する手続きで、期限は4か月以内。一方、相続税の申告は遺産全体にかかる相続税の手続きで、期限は10か月以内です。届出先はどちらも税務署ですが、対象となる税金も計算方法も異なります。なお、準確定申告で発生した還付金は相続財産に含まれるため、相続税の計算に影響する点にはご注意ください。

Q. 期限の4か月以内に間に合わないときはどうすればいいですか?

納付税額がある場合に期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税のペナルティが発生します。ただし、期限後でも申告自体は可能ですので、できるだけ早く提出してください。一方、還付申告(税金が戻ってくるケース)については、法定申告期限から5年以内であれば提出できます。期限内の対応が難しいと感じたら、早めに税務署や税理士に相談しましょう。

まとめ

準確定申告は、相続手続きの中でも比較的早い段階で期限が来る手続きです。最後に要点を整理しておきます。

4か月という期限は短く感じるかもしれませんが、必要な書類を早めに集め始めれば、十分に間に合います。故人の源泉徴収票の取得や、前年の確定申告書の確認など、できることから一つずつ進めていきましょう。

相続手続き全体の流れは「相続手続きの全体ガイド」で確認できます。

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