生前対策

生前贈与の非課税枠|110万円・2500万円の制度と相続税対策

更新日: 2026/2/27読了: 12分

この記事のまとめ

  • 暦年贈与は年間110万円まで贈与税がかからない
  • 相続時精算課税制度は累計2,500万円まで贈与税が非課税
  • 死亡前7年以内の贈与は相続財産に加算される(2024年以降段階適用)

はじめに

「相続税が心配だけれど、何か対策はないだろうか」——生前贈与は、計画的に活用すれば相続税の負担を軽減できる有効な手段です。

ただし、制度を正しく理解しないまま進めると、かえって税負担が増えたり、贈与そのものが否認されたりするリスクがあります。

この記事では、暦年贈与・相続時精算課税制度・各種非課税特例について、基本的な仕組みと活用のポイントを解説します。

生前贈与とは

生前贈与とは、生きている間に財産を無償で他者に渡すことです。贈与を受けた側(受贈者)に贈与税がかかる場合があります。

贈与税の課税方式には、暦年課税相続時精算課税 の2つがあります。どちらの方式を選ぶかは贈与者・受贈者の組み合わせごとに選択できますが、一度相続時精算課税を選択すると暦年課税に戻すことはできません。

暦年贈与(基礎控除110万円)

暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与額の合計が 110万円以下 であれば、贈与税はかかりません(相続税法21条の5)。申告も不要です。

贈与税の税率(暦年課税・一般贈与)

基礎控除後の課税価格に対して、次の税率が適用されます。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

18歳以上の者が直系尊属(父母・祖父母)から贈与を受けた場合は「特例税率」が適用され、上記より低い税率となります。

暦年贈与の注意点

ポイント

贈与契約書は毎年作成しましょう。「贈与者○○は受贈者○○に対し、金○○万円を贈与する」という内容に、日付と双方の署名・押印を入れます。書面がなくても贈与自体は成立しますが、税務調査時の証拠として非常に重要です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用できる制度です(相続税法21条の9)。

制度の概要

2024年からの改正ポイント

2024年1月1日以降の贈与から、相続時精算課税制度にも 年間110万円の基礎控除 が新設されました。この110万円分は相続財産への加算も不要です。

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主な非課税特例

生前贈与には、一定の要件を満たすことで非課税となる特例があります。

教育資金の一括贈与(租税特別措置法70条の2の2)

結婚・子育て資金の一括贈与(租税特別措置法70条の2の3)

住宅取得等資金の贈与(租税特別措置法70条の2)

生前贈与加算(持ち戻し)

相続税の計算では、亡くなる前の一定期間内に行った暦年贈与は相続財産に加算されます。

加算期間の変更(2024年以降)

2024年1月1日以降の贈与から、加算期間が段階的に延長されます。

相続開始日加算期間
2026年12月31日まで死亡前3年以内
2027年〜2030年段階的に延長
2031年1月1日以降死亡前 7年以内

延長された4年間(4〜7年前)の贈与については、合計100万円まで加算対象外となります。

注意

「毎年110万円を贈与すれば絶対に大丈夫」というわけではありません。名義預金と判断されたり、定期贈与と見なされたりすると、贈与の効力が否認される可能性があります。特に多額の財産がある場合は、税理士に相談のうえ計画的に進めましょう。

生前贈与の進め方

効果的な生前贈与を行うためのステップを整理します。

  1. 現状の財産を把握する — 相続税がかかるか基礎控除額と比較
  2. 相続人を確認する — 誰にどの程度渡したいかを考える
  3. 制度を選択する — 暦年課税か相続時精算課税か
  4. 専門家に相談する — 税理士による試算で最適な方法を選ぶ
  5. 記録を残す — 贈与契約書の作成と銀行振込による証拠保全

相続税の基礎控除については「相続税の基礎控除とは」で詳しく解説しています。

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まとめ

生前贈与は、正しく活用すれば相続税を大幅に軽減できる有効な手段です。暦年贈与の110万円基礎控除、相続時精算課税の2,500万円特別控除、教育資金・住宅取得資金の非課税特例など、複数の制度を組み合わせることで効果が高まります。

ただし、2024年以降の税制改正で生前贈与加算が7年に延長されるなど、制度は変化しています。贈与以外の方法で認知症に備えた財産管理を行いたい場合は「家族信託」も有効です。多額の財産がある場合は必ず税理士に相談し、計画的に進めることをおすすめします。

相続税の申告手続きについては「相続税の申告手続き」、エンディングノートで財産を整理する方法は「エンディングノートの書き方」をご覧ください。

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