お金・費用

配偶者の税額軽減(配偶者控除)— 1億6千万円まで非課税のしくみ

更新日: 2026/2/27読了: 11分

この記事のまとめ

  • 配偶者は1億6千万円または法定相続分のどちらか多い金額まで相続税が非課税
  • 適用には婚姻届の提出と相続税の申告が必須
  • 一次相続で使いすぎると二次相続で税負担が大幅に増えるリスクがある

はじめに

「配偶者には相続税がかからない」と聞いたことがある方も多いかもしれません。正確には、配偶者の税額軽減(通称「配偶者控除」)という制度により、1億6千万円または法定相続分のどちらか多い金額まで相続税が非課税になります。

非常に大きな控除ですが、使い方を誤ると二次相続(配偶者自身が亡くなったとき)で想定以上の税負担が発生することも。制度の仕組みと注意点を正しく理解しましょう。

配偶者の税額軽減とは

相続税法第19条の2に定められた制度で、被相続人の配偶者が取得した遺産について、以下のいずれか多い金額までは相続税がかからないというものです。

例えば、遺産総額が3億円で相続人が配偶者と子1人の場合、配偶者の法定相続分は1/2(1億5千万円)ですが、1億6千万円の方が多いため、1億6千万円まで非課税になります。

一方、遺産総額が5億円の場合、法定相続分1/2は2億5千万円となり、こちらの方が1億6千万円より多いため、2億5千万円まで非課税です。

適用要件

配偶者の税額軽減を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

要件内容
法律上の婚姻関係婚姻届を提出していること(事実婚・内縁は対象外)
相続税の申告税額が0円になる場合でも申告書の提出が必須
遺産分割の確定申告期限までに遺産分割が確定していること
注意

事実婚(内縁関係)のパートナーには、配偶者の税額軽減は適用されません。婚姻届を提出しているかどうかが唯一の基準であり、婚姻期間の長短は問いません。

計算方法

配偶者の税額軽減の計算は、以下の手順で行います。

ステップ1: 相続税の総額を計算する

まず、通常どおり相続税の総額を計算します。

ステップ2: 配偶者の税額を算出する

配偶者が実際に取得した遺産に対応する相続税額を計算します。

ステップ3: 軽減額を求める

以下のA・Bのうち少ない方の金額が軽減額となります。

あなたに必要な手続きを一括確認

この手続き以外にも、状況に応じて多くの手続きが必要です。 おくやみノートなら、あなたに必要な手続きだけを自動で整理します。

手続きリストを作る(無料)

シミュレーション例

ケース: 遺産1億円、相続人は配偶者と子1人

パターンA: 配偶者が全額(1億円)を取得

しかし、配偶者が亡くなったとき(二次相続)に1億円がそのまま残っていた場合:

パターンB: 配偶者が5,000万円、子が5,000万円を取得

二次相続(配偶者の遺産5,000万円の場合):

項目パターンA(全額取得)パターンB(半分ずつ)
一次相続の税額0円約385万円
二次相続の税額約1,220万円約160万円
合計税額約1,220万円約545万円
ポイント

配偶者の税額軽減を最大限使って一次相続の税額を0円にしても、二次相続まで含めたトータルでは税負担が増える場合があります。一次・二次を通じたシミュレーションが重要です。

二次相続で注意すべきポイント

基礎控除が減る

一次相続では「配偶者 + 子」で基礎控除が計算されますが、二次相続では配偶者がいないため、基礎控除額が600万円分少なくなります。

配偶者の税額軽減が使えない

二次相続では配偶者がいないため、この制度は使えません。

小規模宅地等の特例の適用に注意

一次相続で配偶者が自宅を取得すれば無条件で小規模宅地等の特例が使えますが、二次相続では子が同居親族の要件を満たす必要があります。

申告期限と未分割の場合

申告期限

相続開始から 10か月以内 に相続税の申告書を提出する必要があります。税額が0円でも申告は必須です。

遺産分割が間に合わない場合

申告期限までに遺産分割が確定しない場合、いったん配偶者の税額軽減を適用しない金額で申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。分割確定後に更正の請求を行い、税額軽減を受けることができます。

相続税申告の全体像は「相続税の申告手続き」で詳しく解説しています。

税理士への相談

配偶者の税額軽減は控除額が大きい分、一次相続・二次相続を通じた最適な分割方法の判断が重要です。遺産総額が基礎控除を超える場合は、相続税に詳しい税理士への相談をおすすめします。

PR提携サービス

タックスボイス相続税に強い税理士を無料紹介

  • 相続税に強い税理士を紹介
  • 紹介料無料・全国対応
  • 初回面談にコーディネーター同席
無料で税理士を紹介してもらう

まとめ

相続税の基礎控除と合わせて活用することで、大幅な節税が期待できます。詳しくは「相続税の基礎控除」もご覧ください。配偶者を亡くした後の手続き全体は「配偶者が亡くなったら」で時系列順に解説しています。

あなたに必要な手続きを一括確認

この手続き以外にも、状況に応じて多くの手続きが必要です。 おくやみノートなら、あなたに必要な手続きだけを自動で整理します。

手続きリストを作る(無料)

関連する記事

この記事をシェア