相続手続き

よくある相続トラブル事例5選と予防策 — 争続を避けるために

更新日: 2026/2/27読了: 12分

この記事のまとめ

  • 相続トラブルの多くは「不動産の分割」「貢献度の差」「複雑な家族関係」が原因
  • 遺言書の作成と生前の家族間コミュニケーションが最大の予防策
  • トラブルが起きたら早めに専門家へ相談し、調停も選択肢に入れる

はじめに

「うちは財産が少ないから揉めない」——そう思っている方は多いのですが、実際には遺産額が5,000万円以下の家庭で相続トラブルの約75%が発生しています(司法統計、遺産分割調停の統計データより)。

この記事では、相続の現場で特に多い5つのトラブル事例と、それぞれの予防策を解説します。「争続」を避けるためのヒントとしてお役立てください。

事例1: 不動産しかない場合の分割問題

よくあるケース

故人の主な財産が自宅不動産(評価額3,000万円)のみ。相続人は長男と次男の2人。長男は故人と同居しており、次男は持ち家あり。

長男は「自宅を売りたくない」、次男は「法定相続分として1,500万円相当をもらう権利がある」と主張し、対立が生じます。

なぜ揉めるのか

不動産は現金のように簡単に分けられません。分割方法は以下の3つですが、いずれも難しさがあります。

分割方法内容課題
現物分割土地を物理的に分ける建物があると現実的に困難
換価分割売却して代金を分ける同居人がいると住む場所を失う
代償分割不動産を取得した人が代償金を支払う代償金を用意する資力が必要

予防策

事例2: 兄弟間の介護貢献度の差

よくあるケース

母の介護を10年間担った長女と、遠方に住み関わりの薄かった次女。法定相続分は同じ1/2ずつだが、長女は「自分がすべて介護したのだから多くもらうべきだ」と主張。

なぜ揉めるのか

民法には「寄与分」という制度があり、被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人は、その分を多く受け取れます。しかし、寄与分の算定は難しく、介護の負担を金銭に換算することへの感情的な抵抗も大きいです。

予防策

注意

寄与分の主張は家庭裁判所でも認められにくいケースがあります。介護の貢献を確実に反映させたい場合は、被相続人本人が遺言書に明記しておくことが最も確実です。

事例3: 前妻の子と後妻の子

よくあるケース

父が再婚しており、前妻との間に子が1人、後妻との間に子が2人。父の死後、前妻の子から連絡があり「法定相続分を請求する」と通知が届く。後妻の家族は面識がなく、対応に困惑。

なぜ揉めるのか

前妻の子も後妻の子も、法律上は同じ相続権を持ちます。しかし、面識がない相手との遺産分割協議は心理的なハードルが高く、感情的な対立に発展しやすいです。

予防策

遺産分割協議の進め方について詳しくは「遺産分割協議の進め方」を参照してください。

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事例4: 遺言書の有効性争い

よくあるケース

故人が残した自筆証書遺言で、一人の相続人にすべての財産を相続させる内容だった。他の相続人が「遺言を書いた当時、認知症だったのではないか」と疑い、遺言の有効性を争う。

なぜ揉めるのか

自筆証書遺言の有効性が争われるポイントは主に以下の3つです。

予防策

ポイント

公正証書遺言は、公証人と証人2人の立会いのもとで作成されるため、方式の不備や偽造のリスクがほぼなく、相続トラブルの予防に最も効果的です。作成費用は遺産額に応じて1〜10万円程度です。

事例5: 名義預金・生前贈与の持ち戻し

よくあるケース

父が生前に長男へ住宅購入資金として1,000万円を贈与。次男は「自分は何ももらっていない。遺産分割で調整してほしい」と主張。

なぜ揉めるのか

民法では、相続人への生前贈与は「特別受益」として、遺産分割の際に持ち戻し(加算して計算)の対象になります。しかし、何が特別受益に該当するかの判断が難しく、争いになることがあります。

特別受益に該当しやすい該当しにくい
住宅購入資金の援助通常の生活費の援助
事業資金の援助学費(ただし高額な場合は該当する可能性)
婚姻のための資金(結納金など)お年玉、お祝い金(社会通念上相当な額)

予防策

また、被相続人の口座から使途不明な出金がある場合、「名義預金」(実質的には被相続人の財産)として相続税の対象になることがあります。

トラブルが起きてしまったら

予防策を講じていても、トラブルが発生することはあります。その場合の対処法を知っておきましょう。

  1. まずは話し合い: 感情的にならず、事実に基づいて冷静に協議する
  2. 専門家に相談: 弁護士、司法書士、税理士に早めに相談する。相続の相談窓口も参考にしてください
  3. 調停の活用: 話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用する。調停について詳しくは「遺産分割調停の流れ」をご覧ください
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まとめ

「うちは大丈夫」と思わず、元気なうちに備えておくことが、家族の平和を守る最善の方法です。

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