相続手続き

遺留分とは?割合・計算方法・侵害額請求の手順をわかりやすく解説

更新日: 2026/2/27読了: 12分

この記事のまとめ

  • 遺留分は配偶者・子・直系尊属に認められた最低限の相続分
  • 遺留分侵害額請求の時効は知った時から1年、相続開始から10年
  • 2019年改正で「物」ではなく「お金」で請求する制度に変わった

はじめに

「遺言書を開けたら、自分にはほとんど何も残されていなかった」——そんな状況に直面したとき、知っておきたいのが 遺留分 の制度です。

遺留分とは、一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分のこと。たとえ遺言書で「全財産を他の人に渡す」と書かれていても、遺留分を持つ相続人はその最低限の取り分を請求することができます。

この記事では、遺留分の割合、計算方法、そして遺留分侵害額請求の具体的な手順を解説します。

遺留分とは

遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の財産のうち、一定の相続人に最低限保障された取り分のことです(民法1042条)。

遺留分が認められる人

遺留分を持つのは、次の相続人に限られます。

兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分の割合

遺留分の割合は、相続人の組み合わせによって異なります。

相続人の構成総体的遺留分各人の遺留分
配偶者のみ1/2配偶者: 1/2
配偶者+子1人1/2配偶者: 1/4、子: 1/4
配偶者+子2人1/2配偶者: 1/4、子: 各1/8
子のみ(1人)1/2子: 1/2
子のみ(2人)1/2子: 各1/4
配偶者+直系尊属1/2配偶者: 1/3、直系尊属: 1/6
直系尊属のみ1/3直系尊属: 1/3(複数なら等分)
兄弟姉妹なし

直系尊属のみが相続人の場合は、総体的遺留分が1/3になる点に注意してください(民法1042条1項2号)。それ以外の場合は1/2です。

遺留分の計算方法

遺留分の額は、次の手順で計算します。

ステップ1: 遺留分算定基礎財産を求める

遺留分算定基礎財産 = 相続開始時の財産 + 生前贈与の加算分 − 債務

生前贈与の加算対象は次のとおりです。

ステップ2: 個別の遺留分額を計算する

遺留分額 = 遺留分算定基礎財産 × 総体的遺留分 × 法定相続分

計算例

被相続人の財産が8,000万円、債務が500万円、相続人が配偶者と子2人の場合:

  1. 遺留分算定基礎財産 = 8,000万円 − 500万円 = 7,500万円
  2. 配偶者の遺留分 = 7,500万円 × 1/2 × 1/2 = 1,875万円
  3. 子1人あたりの遺留分 = 7,500万円 × 1/2 × 1/4 = 937.5万円

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遺留分侵害額請求の手順

2019年7月1日施行の民法改正により、遺留分の請求は「遺留分減殺請求」から 「遺留分侵害額請求」 に変わりました。従来は「物の返還」を求める制度でしたが、改正後は 金銭の支払い を請求する制度になっています。

手順1: 遺留分の侵害を確認する

まず、遺言書の内容や贈与の状況から、自分の遺留分が侵害されているか確認します。

手順2: 内容証明郵便で請求する

遺留分侵害額請求は、裁判外で行うことができます。まずは 内容証明郵便 で相手方に請求の意思表示を行うのが一般的です。

内容証明郵便に記載する内容:

ポイント

内容証明郵便を送ることで、遺留分侵害額請求権を行使した証拠が残ります。時効の問題もあるため、まずは内容証明で意思表示をしたうえで、具体的な金額は後から交渉するという進め方も可能です。

手順3: 当事者間で交渉する

相手方が応じれば、遺留分に相当する金額を協議で決定します。合意に至ったら、合意書を作成しておきましょう。

手順4: 調停を申し立てる

交渉がまとまらない場合は、家庭裁判所に 遺留分侵害額の請求調停 を申し立てます。調停は話し合いの手続きですが、調停委員が間に入って進行します。

遺産分割調停の詳細は「遺産分割調停の進め方」をご覧ください。

手順5: 訴訟を提起する

調停でも解決しない場合は、地方裁判所に訴訟を提起します。遺留分侵害額請求訴訟は、家事事件ではなく民事訴訟として扱われます。

時効に注意

遺留分侵害額請求権には、2つの期間制限があります(民法1048条)。

期間制限起算点期間
消滅時効相続の開始 および 遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを 知った時1年
除斥期間相続開始の時10年

特に重要なのは1年の消滅時効です。遺言書の内容を知ってから1年以内に請求しなければ、権利を失います。

注意

遺留分侵害額請求権は「知った時から1年」で時効にかかります。遺言書を見て不利な内容だと分かったら、まずは内容証明郵便で請求の意思表示をすることが最優先です。金額の計算や交渉は、その後に行いましょう。

遺留分の放棄

相続開始前でも、遺留分を放棄することは可能です。ただし、家庭裁判所の許可が必要です(民法1049条1項)。

遺留分の放棄は他の相続人の遺留分に影響しません。Aが遺留分を放棄しても、Bの遺留分が増えるわけではありません。

なお、相続開始後の遺留分の放棄は自由にでき、家庭裁判所の許可は不要です。

遺産分割協議との関係

遺留分侵害額請求は、遺産分割協議とは別の手続きです。遺言書がない場合は遺産分割協議で話し合いますが、遺言書がある場合に遺留分が侵害されていれば、遺留分侵害額請求を行うことになります。

遺産分割協議の進め方は「遺産分割協議の進め方」で解説しています。

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まとめ

遺留分は、遺言書で不利な内容が書かれていた場合でも、配偶者・子・直系尊属に最低限の取り分を保障する制度です。2019年の改正で金銭請求の制度に変わり、より使いやすくなりました。

最も重要なのは 「知った時から1年」の時効 です。遺言書の内容に疑問を感じたら、まずは弁護士に相談し、内容証明郵便で請求の意思表示をすることを最優先にしてください。法定相続人の範囲が不明な場合は「法定相続人の調べ方」で確認しましょう。

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