相続手続き

相続放棄すべきか迷ったときの5つの判断基準

更新日: 2026/2/27読了: 14分

この記事のまとめ

  • まず財産調査で借金と資産のバランスを把握する
  • 連帯保証債務の有無は信用情報機関で確認できる
  • 限定承認はプラスの範囲で借金を引き継ぐ中間的選択肢

はじめに

「親に借金があるらしいが、放棄すべきか」「財産があるのかないのか分からない」 — 相続放棄を検討する場面では、限られた時間のなかで判断を迫られます。

相続放棄の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。この期間内に、放棄するかどうかを判断しなければなりません。

この記事では、相続放棄の判断に迷ったときの5つのチェックポイントを解説します。相続放棄の手続き方法については「相続放棄の期限と手続き方法」をご覧ください。

判断基準1: 借金が資産を上回るか

最も基本的な判断基準は、マイナスの財産(借金)がプラスの財産(資産)を上回っているかどうかです。

借金の調べ方

故人の借金を調べるには、以下の方法があります。

調査先調べられる内容手続き
信用情報機関(CIC)クレジットカード・信販会社の借入開示請求(手数料1,000円)
信用情報機関(JICC)消費者金融の借入開示請求(手数料1,000円)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)銀行の借入・ローン開示請求(手数料1,124〜1,200円)
市区町村役場固定資産税の未納納税証明書の取得
税務署所得税・相続税の未納問い合わせ

3つの信用情報機関すべてに開示請求を行えば、金融機関からの借入はほぼ把握できます。ただし、個人間の貸し借りは信用情報に載らないため、故人の郵便物や通帳の記録も確認しましょう。

ポイント

3か月の期限内に財産調査が完了しない場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることができます(民法915条1項ただし書)。期限が来る前に申立てを行う必要があります。

資産の調べ方

プラスの財産は以下の方法で調査します。

財産調査の詳細は「相続財産の調査方法」をご確認ください。

判断基準2: 連帯保証人になっていないか

故人が誰かの連帯保証人になっていた場合、その保証債務も相続の対象です。保証人の地位は信用情報機関で一部確認できますが、すべてが把握できるとは限りません。

注意すべき点:

連帯保証債務は、主債務者が返済できなくなった場合に全額を請求される可能性があるため、リスクの大きさを慎重に判断する必要があります。

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判断基準3: 不動産に価値があるか

遺産に不動産が含まれる場合、その価値を正しく把握することが判断の鍵になります。

不動産の価値の確認方法

地方の不動産は買い手がつかず、固定資産税や管理費だけが発生する「負動産」になるケースもあります。不動産の価値がマイナスに近い場合は、相続放棄を検討する材料になります。

判断基準4: 他の相続人との関係

相続放棄をすると、自分の相続分は他の相続人に移ります。放棄を決める前に、他の相続人との関係も考慮しましょう。

注意

相続放棄をすると、次の順位の相続人(親の兄弟姉妹など)に相続権が移ります。放棄する場合は、次順位の相続人にもその旨を伝えておくのがマナーです。知らないうちに借金を相続してしまうことを防げます。

判断基準5: 放棄後の影響を理解しているか

相続放棄は一度行うと原則として撤回できません(民法919条1項)。放棄後の影響を十分に理解した上で判断しましょう。

放棄した場合の主な影響:

よくある誤解

相続放棄に関して、よくある誤解を整理しておきます。

限定承認との比較

「借金があるかもしれないが、プラスの財産もありそう」という場合には、限定承認という選択肢もあります。

項目相続放棄限定承認
効果すべての財産・借金を放棄プラスの財産の範囲内で借金を引き継ぐ
申述期限3か月以内3か月以内
申述先家庭裁判所家庭裁判所
相続人の同意各自が単独で行える相続人全員の同意が必要
手続きの負担比較的簡単官報公告・清算手続きなど複雑
費用約3,000〜5,000円弁護士依頼の場合30〜50万円

限定承認の詳しい手続きについては「限定承認の手続き方法」をご覧ください。

相談窓口

判断に迷う場合は、専門家に相談しましょう。3か月の期限は想像以上に短いため、迷い始めた時点で早めに相談することが大切です。

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まとめ

相続放棄の判断は、「借金と資産のバランス」「連帯保証の有無」「不動産の価値」「他の相続人への影響」「放棄後の影響」の5つを基準に行いましょう。借金が資産を明らかに上回る場合は放棄が合理的ですが、財産の全体像が不明な場合は限定承認も選択肢になります。

3か月の期限は想像以上に短く、財産調査だけでも時間がかかります。判断に迷う場合は早めに弁護士に相談してください。

相続放棄の具体的な手続きは「相続放棄の期限と手続き方法」を、限定承認は「限定承認の手続き方法」をご覧ください。

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