生活・名義変更

証券口座の相続手続き — 株式・投資信託・FX口座の名義変更

更新日: 2026/2/27読了: 18分

この記事のまとめ

  • 証券口座は死亡届出で凍結される
  • 株式・投信は相続人の口座に移管が必要
  • NISA口座は非課税のまま相続できない

はじめに

故人が株式や投資信託を保有していた場合、証券口座の相続手続きが必要になります。銀行口座と同様に、証券口座も名義人の死亡が伝わると凍結され、売買や出金ができなくなります。

証券口座の相続は、銀行預金に比べて手続きがやや複雑です。株式は相続人の証券口座に「移管」する必要があり、NISA口座には非課税が引き継がれないなど、独自のルールがあります。この記事では、証券口座の相続手続きの流れ、必要書類、株式・投資信託・FX口座それぞれの扱いを解説します。

証券口座の凍結

証券会社に名義人の死亡を届け出ると、口座は凍結されます。凍結されると以下の取引がすべて停止します。

銀行口座と異なり、証券口座の場合は株価が日々変動するため、凍結のタイミングが相続財産の評価に影響することがあります。死亡の事実が判明したら、速やかに証券会社へ連絡してください。

手続きの全体的な流れ

証券口座の相続手続きは、おおむね次のステップで進みます。

ステップ1: 証券会社に連絡する

取引していた証券会社のコールセンターまたは支店に連絡し、名義人が死亡したことを伝えます。相続手続きに必要な書類一式の案内と、相続届(相続手続依頼書)が送られてきます。

ステップ2: 必要書類を準備する

証券会社から案内された書類を揃えます。遺言書や遺産分割協議書の有無によって、必要な書類が変わります(詳細は次のセクションで解説します)。

ステップ3: 遺産分割協議を行う

相続人全員で、誰がどの銘柄を何株(何口)相続するかを話し合います。協議がまとまったら遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印を押印します。

ステップ4: 相続人の証券口座を開設する

株式や投資信託を受け取る相続人が、同じ証券会社に口座を持っていない場合は、新たに口座を開設する必要があります。証券会社によっては、相続手続きと同時に口座開設が可能です。

ステップ5: 移管手続き

必要書類を証券会社に提出すると、審査を経て故人の口座から相続人の口座に有価証券が移管されます。書類に不備がなければ、通常 2〜4週間程度 で完了します。

必要書類

証券会社により多少異なりますが、一般的に必要な書類は以下のとおりです。

書類遺産分割協議書あり遺言書あり
相続届(証券会社の所定書式)
故人の戸籍謄本(出生〜死亡)
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書(原本)
遺言書(原本または正本)
検認済証明書(自筆証書遺言の場合)
相続人の本人確認書類
故人の取引残高報告書(あれば)

※ △は証券会社によって求められる場合があります。

あなたに必要な手続きを一括確認

この手続き以外にも、状況に応じて多くの手続きが必要です。 おくやみノートなら、あなたに必要な手続きだけを自動で整理します。

手続きリストを作る(無料)

株式の相続

上場株式の移管

上場株式は、故人の証券口座から相続人の証券口座に「移管」する形で相続します。現金化して分配するのではなく、株式そのものを移す手続きです。相続後に売却したい場合は、移管完了後に相続人自身の判断で売却します。

なお、株式を複数の相続人で分ける場合は、銘柄ごと・株数ごとに分割して移管することも可能です。ただし、1株未満の端数が生じる場合は、その端数を相続する相続人を決める必要があります。

上場株式の相続税評価

上場株式の相続税評価額は、次の4つの価格のうち 最も低い価格 で評価できます。

番号評価方法
1相続開始日(死亡日)の終値
2相続開始日の属する月の毎日の終値の平均額
3相続開始日の前月の毎日の終値の平均額
4相続開始日の前々月の毎日の終値の平均額

4つの中から最も低い価格を選べるため、株価の変動状況によって有利な評価方法が異なります。なお、相続開始日が土日祝日で取引がなかった場合は、最も近い取引日の終値を使用します。

評価方法の詳細は「相続財産の評価方法」で解説しています。

投資信託の相続

投資信託も株式と同様に、相続人の口座に移管して相続します。投資信託の相続税評価額は、相続開始日の基準価額(1口あたりの価格)に保有口数を掛けて算出します。

ただし、解約時に差し引かれる信託財産留保額がある場合は、その金額を控除した金額が評価額になります。

投資信託の種類が複数ある場合は、ファンドごとに評価額を算出し、遺産分割協議でそれぞれの取得者を決めます。

NISA口座の扱い

NISA口座で保有していた株式や投資信託も相続の対象になりますが、注意すべき重要なポイントがあります。

注意

NISA口座の非課税メリットは相続人に引き継がれません。故人のNISA口座にある株式等は、相続人の「特定口座」または「一般口座」に移管されます。相続人のNISA口座に直接移管することはできません。

NISA相続のポイント

FX口座の扱い

故人がFX(外国為替証拠金取引)口座を持っていた場合、証券口座とは異なる対応が必要です。

ポジションの強制決済

FX口座の名義人が死亡した場合、FX会社に届け出ると保有中のポジション(未決済の建玉)は原則として 強制決済 されます。相続人がポジションを引き継いで取引を続けることはできません。

証拠金・残高の返還

ポジション決済後の損益と、口座に残っている証拠金(預託金)は、相続財産として相続人に返還されます。手続きの流れは以下のとおりです。

  1. FX会社に死亡を届け出る
  2. ポジションが強制決済される
  3. 必要書類(戸籍謄本、遺産分割協議書等)を提出する
  4. 決済後の残高が相続人の銀行口座に振り込まれる

FXの相続税評価

FXポジションの相続税評価は、相続開始日の最終レートで評価します。未決済のスワップポイントも評価額に含まれます。

証券口座が見つからない場合

故人がどの証券会社に口座を持っていたか分からない場合は、まず自宅にある以下の書類を手がかりに探します。

ポイント

手がかりが見つからない場合は、証券保管振替機構(ほふり) に「登録済加入者情報の開示請求」を行うことで、故人がどの証券会社に口座を開設していたかを調べられます。手数料は1件あたり6,050円(税込)で、相続人であることを証明する戸籍謄本等の提出が必要です。結果が届くまでおおむね1か月程度かかります。

財産調査の全体的な進め方は「相続財産の調査方法」で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 証券口座の相続手続きに期限はありますか?

法律上の明確な期限はありません。ただし、相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から 10か月以内 です。相続税の申告には有価証券の評価額が必要になるため、申告期限に間に合うよう早めに手続きを進めてください。また、相続放棄を検討している場合は 3か月以内 に判断する必要があります。

Q. 故人の証券口座にある株式を、そのまま売却して現金で分けることはできますか?

直接は できません。まず相続人の証券口座に株式を移管し、その後に売却する必要があります。代表相続人が一旦すべての株式を相続してから売却し、現金を他の相続人に分配する「換価分割」という方法を取ることが多いです。この場合、遺産分割協議書に換価分割の旨を明記しておくことが重要です。

Q. 故人と同じ証券会社に口座を開設しなければなりませんか?

原則として、故人と同じ証券会社に口座を開設して移管を受ける必要があります。異なる証券会社への直接移管はできません。ただし、移管完了後に相続人の判断で他の証券会社に株式を移すことは可能です。

Q. 端株(単元未満株)はどうなりますか?

端株(単元未満株)も相続の対象です。証券会社によっては端株の移管に対応していない場合がありますが、その場合は発行会社に対して「単元未満株式の買取請求」を行い、現金化して相続することができます。

まとめ

証券口座の相続は、銀行口座に比べて手続きのステップが多く、NISA口座やFX口座など種類ごとに異なるルールがあります。早めに証券会社に連絡し、必要書類を確認することが最初の一歩です。

PR提携サービス

相続アシスト相続手続きをゼロタッチで一括代行

  • 相続税申告から名義変更まで専門家が一括代行
  • 税理士・司法書士・弁護士のワンストップ体制
  • 全国対応・オンラインで完結
相続アシストで無料相談する

銀行口座の相続手続きは「銀行口座の死亡手続き — 凍結解除の方法と必要書類」で、相続財産の調査方法は「相続財産の調査方法」で、財産評価の詳細は「相続財産の評価方法」で解説しています。

あなたに必要な手続きを一括確認

この手続き以外にも、状況に応じて多くの手続きが必要です。 おくやみノートなら、あなたに必要な手続きだけを自動で整理します。

手続きリストを作る(無料)

関連する記事

この記事をシェア