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相続税の納税資金の準備方法 — 生前からの対策と資金調達

更新日: 2026/2/27読了: 12分

この記事のまとめ

  • 不動産中心の遺産は現金不足で納税資金に困りやすい
  • 生命保険は受取人固有の財産で非課税枠(500万円×法定相続人の数)もある
  • 延納・物納・売却・借入など死後の資金調達手段も複数ある

はじめに

相続税は原則として、申告期限(死亡を知った翌日から10か月以内)までに金銭で一括納付する必要があります。しかし、遺産の大半が不動産や自社株式で現金が少ない場合、納税資金の確保が大きな課題になります。

国税庁の統計によると、相続財産に占める不動産の割合は約35%(2023年分)。不動産比率が高い相続では、「遺産はあるのにお金がない」という状況に陥りやすいのです。

この記事では、生前にできる対策と死後の資金調達方法を解説します。相続税の申告全般については「相続税の申告」をご確認ください。

納税資金が不足しやすいケース

以下のようなケースでは、納税資金が不足しがちです。

生前対策

対策1: 生命保険の活用

生命保険の死亡保険金は、受取人が指定されていれば受取人固有の財産として扱われ、遺産分割協議を経ずに速やかに受け取れます。死亡後数日〜2週間程度で保険金が支払われるため、納税資金に充てやすいのが最大のメリットです。

さらに、死亡保険金には相続税の非課税枠があります。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば法定相続人が3人の場合、1,500万円までの保険金は相続税がかかりません。

法定相続人の数非課税限度額
1人500万円
2人1,000万円
3人1,500万円
4人2,000万円
ポイント

終身保険は保険料が高くなりますが、いつ亡くなっても確実に保険金が支払われます。納税資金の準備が目的であれば、一時払い終身保険が効率的です。相続税の非課税枠も活用できるため、節税効果と資金準備の一石二鳥になります。

対策2: 生前贈与で資金を移転

生前に相続人へ現金を贈与しておけば、相続人が自分の手元資金から納税できます。

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対策3: 不動産の組み替え

換金性の低い不動産を、換金しやすい資産に組み替えておく方法です。

死後の資金調達

方法1: 預貯金の仮払い制度

2019年7月から施行された制度で、遺産分割協議が完了する前でも、故人の預貯金の一部を引き出せます。

仮払い可能額 = 預貯金残高 × 1/3 × その相続人の法定相続分

ただし、1金融機関あたり150万円が上限です。

例えば、故人の口座に600万円があり、法定相続分が1/2の相続人の場合:

この金額では大きな納税資金には足りないことが多いですが、当面の生活費や葬儀費用には活用できます。

方法2: 延納制度

相続税を一括で払えない場合、分割払い(延納)ができる制度です。

延納の主な要件:

延納期間は最長20年(不動産の割合が高い場合)で、延納期間中は利子税がかかります。

延納制度の詳細は「相続税の延納・物納制度」をご覧ください。

方法3: 物納制度

延納でも金銭での納付が困難な場合に、不動産や有価証券などの現物で納税する制度です。

物納に充てられる財産には優先順位があります:

  1. 国債・地方債、不動産、船舶
  2. 社債・株式・証券投資信託の受益証券
  3. 動産

物納は要件が厳しく、手続きも複雑なため、最終手段として位置づけられます。

方法4: 不動産の売却

遺産に含まれる不動産を売却して納税資金を確保する方法です。ただし、不動産の売却には時間がかかるため、申告期限に間に合わない可能性があります。

注意点:

方法5: 金融機関からの借入

金融機関から融資を受けて納税資金に充てる方法です。不動産を担保にすれば、比較的大きな金額を借り入れられます。

注意

金融機関からの借入は利息がかかるため、延納の利子税と比較して有利な方を選びましょう。延納の利子税率は年0.2〜0.7%程度(特例基準割合による)に軽減されており、金融機関の金利より低い場合もあります。

各方法の比較

方法メリットデメリット利用のしやすさ
生命保険速やかに受け取れる・非課税枠あり生前の準備が必要容易
預貯金仮払い協議前に引き出せる上限150万円/金融機関容易
延納分割払いが可能利子税がかかる・担保が必要やや手間
物納現金が不要要件が厳しい・手続きが複雑難しい
不動産売却まとまった資金を確保できる時間がかかる・譲渡所得税やや手間
金融機関借入大きな金額を調達できる利息負担・審査があるやや手間
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まとめ

相続税の納税資金は、生前からの準備と死後の資金調達を組み合わせて確保します。最も効果的な生前対策は生命保険の活用で、非課税枠と速やかな現金化という2つのメリットがあります。死後は、預貯金の仮払い制度、延納・物納制度、不動産の売却などを状況に応じて使い分けましょう。

相続税の申告全般は「相続税の申告」を、延納・物納制度の詳細は「相続税の延納・物納制度」をご覧ください。

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